地域移行が難しい文化部

文化部にとっての地域移行の道筋は、スポーツ部以上に難しいものがあります。

例えば、吹奏楽部が休日に学校以外で練習するとなると、地域の音楽ホールまで楽器を運搬する労力や借りるための費用が発生し、負担が増えます。

合唱部の場合も、練習を地域の施設で行うには他の学校と練習時間が重ならないように予約するなど、事務手続きが増えます。

休日の部活動は拠点校に集約して行うという提言もされていますが、その場合も「拠点校までの距離」という移動距離の差も発生します。吹奏楽部であれば、楽器を持参しての移動になるため必然的に車での移動となります。

さらに、指導者に関しても課題はあります。教員以外の指導者を探す場合、社会人向けの講座で教えたり地域の音楽サークルで指導したりする方もいるため、ハードルは高くないようにみえます。

地域や民間のカルチャースクールでも、合唱団といったクラブは存在しています。

しかし、小学校でのスポーツ少年団や地域のスポーツ団体のように学校の教員以外の指導者が長年、子ども達を指導しているような土壌が全国各各地で確立されているとは言い難いです。

地域移行を実現することで、地域の楽団や合唱団の練習といった活動の広がりも期待できますが、理想と現実のギャップが大きく根本的な改革に至るには時間かかると考えられます。