私たちは、1年間の収入を基に計算された所得税および住民税を支払っていますが、その計算には所得控除が適用されています。

この所得控除が適用される要件とはどのようなものなのでしょうか。それぞれの所得控除の内容と計算方法、そして税額控除との違いについても解説します。

1. 所得控除とは

所得税法では、所得税額の計算の際に、納税者の個人的な事情を加味するために、所得控除の制度を設けています。そして、現在15種類の所得控除が用意されています。これらの所得控除は要件に該当すれば、重複して適用されます。

1.1 所得控除1. 雑損控除

災害もしくは盗難、横領などにより、資産に損害を受けた場合に受けられる控除です。控除額は以下の計算式の結果いずれか低い額です。

  1. (損害金額+災害等関連支出金額-保険金などの額)-(総所得金額など✕10%)
  2. (災害関連支出金額-保険金などの額)-5万円

ちなみに、所得金額の合計額が1000万円以下の人が災害にあった場合には、「災害減免法による所得税の減免措置」が用意されており、雑損控除との選択適用になっています。

1.2 所得控除2. 医療費控除

1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費の合計が10万円(所得が200万円以下の人は総所得金額の5%)を超える場合に受けられる控除です。

控除額は「(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額)-10万円(所得が200万円以下の人は総所得金額の5%)」です。

この控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

1.3 所得控除3. 社会保険料控除

その年に支払った社会保険料については、その全額を控除できます。対象となる社会保険料とは、国民年金保険料、厚生年金保険料、国民健康保険料などです。

控除額は給与所得者であれば源泉徴収票で、自営業者であれば各社会保険機関が発行する証明書で知ることができます。