4. 夫に先立たれた妻は年金がいくら減るのか
では、実際に夫に先立たれた妻は年金がいくら減るのでしょうか。ここではモデルケースで確認してみましょう。
4.1 令和4年度の年金受給額(モデルケース)
- 国民年金(老齢基礎年金(満額))6万4816円
- 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)21万9593円
(出典:日本年金機構)
厚生年金のモデルケースから2人分の国民年金を引くと、厚生年金のみでは約9万円であることがわかります。
このモデルケースをもとに、「妻が専業主婦で、子どもがいないかまたは成人している(つまり遺族基礎年金は貰えない)」場合に、遺族年金がいくら支給されるのかをシミュレーションしてみます。
厚生年金は月9万円なので、年間で約108万円。遺族厚生年金はその4分の3のため、年額でおよそ81万円となる計算です。
妻の国民年金が月額6万4816円なので、年間で約78万円。
「妻の国民年金+夫の遺族厚生年金」を合わせると約159万円となり、月額はおよそ13万2500円です。
※中高齢の寡婦加算額の対象となる場合、65歳で支給停止となります。
ちなみに夫が国民年金のみの場合は、遺族厚生年金が受給できずに妻は自分の国民年金しか受給できません。
この場合、要件を満たせばて「寡婦年金」と「死亡一時金」が受給できる可能性はあるものの、金額は少額となります。
5. 遺族年金を見越した家族の保障を考える
遺族年金の受給要件は、かなり複雑なことがわかります。誰が対象でいくらもらえるのかを、簡単に把握するのは難しいでしょう。
しかし、家族の「まさか」に備えることはとても重要になります。もし生命保険に加入している場合は、遺族厚生年金の受給額を加味した金額設定になっているでしょうか。
過度な保障は保険料を上昇させます。家計を見直すためにも、ぜひ保障内容を見直してみましょう。
反対に自営業の家庭などで、死亡保障が足りていないケースもあります。公的な保障をしっかり把握しつつ、足りない分を民間の保険で補うことが必要です。
自分の場合の遺族年金が分かりにくい場合には、最寄りの年金事務所等で相談してみましょう。
参考資料
太田 彩子