2. 東京圏の住宅地は都心も近郊も高めの上昇

東京圏の平均は住宅地が0.6%、商業地が0.7%と、いずれも昨年のマイナスから上昇に転じている。地域別に見ると、特に東京都区部都心部の住宅地が2.2%と、高めの上昇率となった。新型コロナの感染拡大が始まった2020年の春にはほぼ開店休業状態となった都心の不動産市場だが、第1回の緊急事態宣言が解除されるとともに急回復している。その後2021年も都心では高額マンションの売買が活発化しており、堅調な住宅市場が地価にも反映された形だ。

一方、コロナ禍で在宅時間が長くなったこともあり、広めの住宅や子育てしやすい居住環境へのニーズも高まったと言われる。そうした傾向を反映し、横浜市やさいたま市、千葉市では住宅地がいずれも1%前後の上昇率となった。そのほかにも、例えば浦安市が3.3%、和光市と稲城市が2.3%の上昇となるなど、都心への利便性が高い近郊エリアで高めの上昇率となったエリアが見られる。

東京圏の商業地も2022年はおおむね上昇したが、区部都心部は0.0%と横ばいだった。なかでも千代田・中央・港の都心3区はいずれもマイナスだ。コロナ禍でインバウンド需要が消失し、銀座などの繁華街では客足が戻りきっていないため下落幅が大きくなっている。また丸の内などオフィス街でも空室率が高止まりしており、地価の下落が続いている状況だ。ただし国内観光需要の回復を反映し、浅草では地価が上昇に転じている。