みなさんは将来受け取る年金について「正確に」ご存知でしょうか。

多くの方の生活を支える年金ですが、実は仕組みが複雑だということもあり、よく知られていないのも事実です。

そこで今回は「厚生年金」の基本を解説します。

厚生年金の加入者や実際の受給額などを知ることで、マネープランを考えるきっかけになれば幸いです。

【注目記事】「厚生年金の月平均が14万円」実はウソ⁈年金制度には落とし穴があった

厚生年金とは?誰が加入するのか

日本の年金制度は2階建ての構造をしており、1階が国民年金、2階が厚生年金になっています。

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出所:日本年金機構

出所:日本年金機構

厚生年金に加入できるのは、国民年金の第2号被保険者のみ。つまり公務員や会社員等が該当します。

自営業や学生、専業主婦などは厚生年金の対象外なので注意しましょう。

厚生年金の第1号~第4号とは

厚生年金には第1号~第4号被保険者までがあります。

  • 第1号被保険者:一般企業等に勤める会社員
  • 第2号被保険者:国家公務員共済組合員の組合員
  • 第3号被保険者:地方公務員共済組合員の組合員
  • 第4号被保険者:私立学校教職員共済制度の加入者

これまで公務員は共済年金という独自の年金制度に加入していましたが、2015年10月1日に厚生年金に統合されました。

厚生年金に一括りになったものの、その実施機関は「国家公務員共済組合」や「地方公務員共済組合」などばらばらです。

公表されている年金受給額などは「厚生年金(第1号)」と表記されていることも多く、この場合は会社員の厚生年金ということになります。

厚生年金の保険料の決まり方

厚生年金の保険料は収入によって決まります。4月~6月の給与をもとに決定された「標準報酬月額」(ボーナスの場合は標準賞与額)の18.3%を、会社と折半して納めるのです。

例えば標準報酬月額が30万円の場合、毎月の保険料は2万7450円です。

保険料は基本的に給与からの天引きで、ここには国民年金も含まれます。別で国民年金保険料を支払う必要はありません。

厚生年金の実際の受給額

それでは今のシニア世代は、実際にいくらぐらいの厚生年金を受給しているのでしょうか。厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から確認していきましょう。
※資料に合わせ、ここでは「第1号」に限定した金額をご紹介します。

厚生年金(第1号)の平均月額

〈全体〉平均年金月額:14万4366円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万3808円

※国民年金の金額を含む

受給額ごとの人数(1万円レンジごと)

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出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 1万円未満:10万511人
  • 1万円以上~2万円未満:1万8955人
  • 2万円以上~3万円未満:6万6662人
  • 3万円以上~4万円未満:11万9711人
  • 4万円以上~5万円未満:12万5655人
  • 5万円以上~6万円未満:17万627人
  • 6万円以上~7万円未満:40万1175人
  • 7万円以上~8万円未満:69万4015人
  • 8万円以上~9万円未満:93万4792人
  • 9万円以上~10万円未満:112万5260人
  • 10万円以上~11万円未満:111万9158人
  • 11万円以上~12万円未満:101万8423人
  • 12万円以上~13万円未満:92万6094人
  • 13万円以上~14万円未満:89万7027人
  • 14万円以上~15万円未満:91万3347人
  • 15万円以上~16万円未満:94万5950人
  • 16万円以上~17万円未満:99万4107人
  • 17万円以上~18万円未満:102万4472人
  • 18万円以上~19万円未満:99万4193人
  • 19万円以上~20万円未満:91万6505人
  • 20万円以上~21万円未満:78万1979人
  • 21万円以上~22万円未満:60万7141人
  • 22万円以上~23万円未満:42万5171人
  • 23万円以上~24万円未満:28万9599人
  • 24万円以上~25万円未満:19万4014人
  • 25万円以上~26万円未満:12万3614人
  • 26万円以上~27万円未満:7万6292人
  • 27万円以上~28万円未満:4万5063人
  • 28万円以上~29万円未満:2万2949人
  • 29万円以上~30万円未満:1万951人
  • 30万円以上~:1万6721人

実際の平均額は14万4366円で、ボリュームゾーンは9万円以上~10万円未満であることがわかります。

報酬比例制であるため、いろいろな受給額にばらけている様子がわかりますね。

また加入期間にも左右されるため、「介護で離職した」「育児が落ち着いてから働き出した」など勤務期間が短い人は、例え高給であっても年金受給額が低くなります。

厚生年金は老齢年金以外の機能も

年金というと「老後に受給できる」というイメージがありますが、これは老齢年金のことです。

年金には他に「遺族年金」と「障害年金」という保障機能もあります。厚生年金にもそれぞれの保障機能があるため、くわしく見ていきましょう。

障害厚生年金

日本年金機構によると、以下の条件をすべて満たす場合に「障害厚生年金」を受給することができます。

  1. 厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日があること。
  2. 障害の状態が、障害認定日に、障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当していること。ただし、障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害厚生年金を受け取ることができる場合があります。
  3. 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。

ただし初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。

働き盛りのときに障害状態に該当すると、仕事を続けられない可能性があります。そのようなときに生活を支えてくれるのが「障害厚生年金」なのです。

遺族厚生年金

遺族厚生年金とは、生計を維持する人が亡くなったときに遺族の生活を保障する年金のことです。受給要件は次のとおり。

  1. 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
  2. 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
  3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
  5. 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

受給要件や対象者は複雑ですが、万が一のときに遺族の生活を保障する大切な年金なのです。

まとめにかえて

厚生年金についてまとめてきました。

毎月保険料を納め、やがては受給することになる年金。しかしその内容について、あまり知らなかったという方も多いのではないでしょうか。

公的制度は複雑に思えますが、知っておいて損はありません。生活にかかわる大切な制度だからこそ、しっかり知識を身につけておきましょう。

参考資料

太田 彩子