「オリックスの配当はなぜ増え続けているのか?」「株主優待が廃止された今、株主還元はどう変わったのか」と気になっていませんか?

オリックス(8591)の配当は、2022年3月期の85.60円から2026年3月期には156.10円まで増加しました。

ただし、この間PBRは0.7倍台から1倍超まで変動しており、株価の評価水準は一様ではありません。

本記事では、有価証券報告書をもとに、株価やPER・PBRの推移から、株主優待廃止後に配当性向39%を軸として強化された最新の配当方針まで整理して解説します。

読み終える頃には、オリックスの配当がなぜ評価されているのかが分かり、高配当株としての投資判断に役立つ視点が見えてくるはずです。

ココがポイント
  • 配当は5年で約1.8倍に増加:2022年3月期の85.60円から2026年3月期には156.10円まで増配し、2027年3月期は187.36円を予想。
  • 株主優待は2024年3月末で廃止:株主カードやふるさと優待による優待制度を廃止し、株主還元を配当に集約する方針へ転換した。
  • 配当性向39%を下限とする還元方針:前期配当額を下回らない設計により、株主にとって予測しやすい増配の仕組みが導入されている。

1. オリックスの株価はどう推移してきたか

オリックスの株価を決算期(3月期)ごとの高値で見ると、2022年3月期は2612円でしたが、2023年3月期には2535円まで一旦下落しました。

その後は上昇基調が続き、2024年3月期には3429円、2025年3月期には3788円、2026年3月期には5648円まで値を伸ばしています。

オリックス株式会社 株価の推移(決算期別)1/3

オリックス株式会社 株価の推移(決算期別)

出所:株価データをもとにLIMO編集部作成

2022年3月期の高値2612円と比べると、2026年3月期の高値である5648円は約2.2倍の水準にあたります。

なお、2026年8月末時点の株価は6284円まで上昇しており、直近の決算期末からさらに値を伸ばしている状況です。

2. PER・PBRから見るオリックスの株価水準

株価そのものの水準だけでなく、割安・割高を判断する指標としてPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率、各決算期末時点)も確認しておきましょう。

オリックス株式会社 PER・PBRの推移(各決算期末時点)2/3

オリックス株式会社 PER・PBRの推移(各決算期末時点)

出所:株価データをもとにLIMO編集部作成

PER(連結)は2022年3月期の9.3倍から2023年3月期には8.8倍まで低下した後、2024年3月期には11.1倍まで上昇しました。

2025年3月期には10.0倍まで一旦低下したものの、2026年3月期には11.5倍まで回復しています。

PBRは2022年3月期の0.89倍から2023年3月期には0.72倍まで低下しました。

その後2024年3月期に0.97倍まで回復しましたが、2025年3月期には0.86倍まで再び低下し、2026年3月期には1.13倍と、この5年間で最も高い水準まで上昇しました。

PBRが1倍を上回ったことは、市場がオリックスの保有資産に対して株価を割安と評価する局面を脱しつつあることを示しています。

3. オリックスはなぜ「高配当株」と呼ばれるのか

オリックスが高配当株として注目される理由のひとつが、長年にわたる安定的な株主還元の実績です。

同社はかねてより、配当と自己株式取得を組み合わせた株主還元を行ってきましたが、2022年5月には株主優待制度の廃止を決定しました。

従来提供していた「株主カード」や「ふるさと優待」といった株主優待は、2024年3月31日時点の株主への発送を最後に廃止され、株主還元は配当に集約されています。

この方針転換により、株主にとっての利益還元は、優待品ではなく配当額の推移で評価する必要がある点に注意が必要です。

4. 配当実績の推移

実際の配当実績を見ると、2022年3月期・2023年3月期は1株あたり85.60円で据え置かれていました。

その後2024年3月期には98.60円、2025年3月期には120.01円、2026年3月期には156.10円と増配が続いています。

オリックス株式会社 配当金の推移(1株当たり・提出会社単体)3/3

オリックス株式会社 配当金の推移(1株当たり・提出会社単体)

出所:株価データをもとにLIMO編集部作成

この間、配当性向は38.8%から77.9%まで年によって変動していますが、いずれの年も減配は行われておらず、5年間で配当額は約1.8倍まで増加しました。

5. 配当性向39%を軸とした還元方針への進化

オリックスは2024年5月、配当性向39%または前期の配当額のいずれか高い方を年間配当額とする方針を公表しました。

この方針により、業績が悪化した年でも前期の配当額を下回らない、実質的な累進配当の仕組みが導入されています。

2026年3月期の配当性向は39.0%となり、年間配当は156.10円で確定しました。

2027年3月期についても同じ方針が適用され、配当予想は187.36円と、前期からさらに増配する見通しが示されています。

6. まとめにかえて

オリックスの配当は、株主優待の廃止と引き換えに、配当性向39%を軸とした実質的な累進配当方針のもとで着実に増加してきました。

一方で、有価証券報告書では、与信先の信用状態悪化に伴う信用リスク、事業拡大やM&A・提携等に伴う不確実性、金利や為替相場の変動による影響などが事業等のリスクとして挙げられています。

配当実績や還元方針だけでなく、こうした事業上のリスク要因も踏まえたうえで、投資判断を行うことをおすすめします。

7. 本記事の監修を終えて:新NISAで資産運用を行う元FP会社職員の監修者コメント

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下村 美乃莉

オリックスのように株主優待を廃止し、配当に集約する企業は、ここ数年で増えています。優待品というわかりやすいメリットがなくなる分、投資家は配当額そのものや配当方針の設計を注意深く確認する必要があるでしょう。

オリックスの場合、配当性向39%または前期配当額のいずれか高い方を採用する方針により、業績が落ち込んだ年でも減配しにくい設計になっている点は評価できます。実際、2022年3月期から2026年3月期にかけて一度も減配せず、配当は約1.8倍まで増加しました。

高配当株投資では、配当利回りの高さだけでなく、PER・PBRといったバリュエーション指標や、配当方針が減配をどこまで許容しない設計になっているかまで確認する視点が重要です。資産形成の第一歩から学びたい方は、新NISAについてまとめた解説記事もあわせてご覧ください。

 

参考資料

石津 大希