賢い企業は導入している?固定残業代制度とは
固定残業代制度とは、労働基準法37条に規定される時間外・休日・深夜労働に対する所定の割増率による一定額以上の割増賃金を、定額残業手当などとして、一定額支払ってしまう制度です。
会社によっては「定額残業手当10時間分X円」「残業代10時間分X円を基本給に含む」などと規定したり、固定残業代制度ではなく定額残業手当などと呼称することがあります。
手当として、残業代を多く支払う可能性がある制度をなぜわざわざ導入するのか不思議に思うかもしれません。
しかし、いざ残業代請求をされるケースを考えると、固定残業代制度は、割増賃金の計算の基礎となる単価を引き下げる効果があります。
すなわち、残業代の計算は、月額賃金を1か月の平均所定労働時間で除して所定の割増率を乗じるため、月額賃金が低くなると、基礎単価が下がります(たとえば、月給30万円が基礎単価となるか、月給25万+定額残業手当5万円の場合に月給25万円を基礎に計算できるかで基礎単価は異なります。)。
それとは別に実際上の効果としても、一定時間は残業代が発生するため、毎日少しずつ居残り残業をする不当な残業代稼ぎのインセンティブも少なくすることができます(逆に従業員にとっては、早く作業が終われば、実際の勤務がなくても固定部分がもらえるため、作業効率化をするインセンティブにもなるといわれています。)。