残業代の消滅時効が延びる!

従来の残業代の消滅時効は、支給日から2年間でした(改正前労働基準法115条)。これは、改正前民法において、賃金債権が短期消滅時効により1年で消滅時効にかかる(改正前民法174条)ことから、労働者の保護のため特別に長く設定されていたものです。

しかしながら、令和2年4月1日施行の民法改正では、債権の消滅時効が基本的に5年に統一されたため、労働基準法で特別に保護していたはずの賃金の消滅時効のほうが一般の債権よりも短いという不均衡が生じることとなりました。

この民法改正を受けて、労働基準法が改正され、当面の経過措置として、2020年4月1日以降発生する賃金から適用される残業代の消滅時効は、3年とされることになりました(ただし、これはあくまで経過措置であり、改正後労働基準法115条では5年と規定されています。)。

現実問題としては、改正法が適用される2020年4月1日から2年後の2022年4月1日以降に発生する賃金から、改正法の影響が生じてきます。

2023年4月1日から中小企業にも月60時間超過部分に割増率50%が適用!

2010年施行の労働基準法改正により、月60時間を超える時間外労働には、50%の割増賃金の支払いが必要となりました(労働基準法37条1項但書)。

中小企業には長らく猶予措置がありましたが、働き方改革関連法案により、猶予措置が廃止され、2023年4月1日から中小企業にも上記の規定が適用されることになりました。

60時間以内の時間外手当の割増率は25%であるため、60時間を超える部分の割増率は倍になるといえます。

2023年4月といえば、残業代が丸3年分請求できるようになる時期です。

中小企業においても、残業代の支払には、今以上に慎重に対応が必要となってきます。
このように2023年4月からは、「残業代の戦国時代」が訪れる可能性があるといえます。