捨てるなら、染めよう~大量消費社会の課題に向き合う「株式会社きぬのいえ」~

埼玉県北部に位置する人口3万人のまち、寄居町に古来より伝承されてきた染物業界に革新を起こす企業「株式会社きぬのいえ」があります。

きぬのいえは、染色の高い技術を活かし染め直しをおこなう「SOMA Re:」(ソマリ)というサービスを開始しました。

「捨てるなら、染めよう」のコンセプトで、古くなったり、色焼けやシミで着られなくなったシャツやパンツ、ブルゾンなどを染め直し、ファッションアイテムの持続性を高めています。

ラグジュアリーブランド、一流ブランドと呼ばれる服はもちろん、50年前の手作りドレスを染め直した人も。

服を買い替えるのではなく、愛着ある服を染め直し再生させるこの活動は、服を大切にし、地球の資源を大切にする、まさにSDGsにつながる取り組みです。

衣服も大量消費を見直す時代(triocean/Shutterstock.com)

きぬのいえの活動は、SDGsにも通じるポジティブな取り組みとしてメディアに取り上げられ、企業イメージが向上し、多くの人々の共感を得ることができました。

このことは、環境や社会への貢献につながる取り組みをしている企業が享受できるメリットであると言えます。

実際、テレビや新聞、ファッション誌など、これまでに取り上げられたパブリシティ効果を広告宣伝費に換算するなら、ざっと数億円単位に相当するはずです。

さらに言うと、社会課題の解決に取り組む企業は様々な評価やお墨付きを得ることが少なくありません。きぬのいえのケースはSDGsのモデル企業として、中小企業庁が出した「2021年版小規模企業白書」で取り上げられています。

企業が社会課題を解決する取り組みをおこなった結果、その斬新な取り組みが話題を呼び、結果として企業が売上を伸ばすという好循環は、社会課題解決型ビジネスが持続して展開するための重要な要因のひとつともいえるでしょう。