介護費の自己負担も増える可能性
それでは、介護分野についてもみていきます。
財務省の財政制度等審議会(財務省の諮問機関)は2021年5月21日、新型コロナウイルスへの対応や社会保障などの財政健全化をまとめた建議(意見書)を、麻生太郎財務相に提出しています。
建議のなかで、財務省は「利用者負担の更なる見直しやケアマネジメントへの利用者負担の導入など、介護保険給付範囲の見直しを進めることが必要」という内容が盛り込まれました。
介護費用は現在、1割負担の人が約90%となっています。これを"原則2割負担"へ引き上げることを求めました。
そもそも、介護保険制度の財源である保険料を支払うのは、原則40歳以上からです。ところが医療制度と同様、40歳以上の人口が2023年をピークに減少します。特に40~64歳の支え手の割合が減っていくことが見込まれているのです。
一方で、1人あたり給付費の高い75歳以上の高齢者は2030年頃まで増加していきます。
このような状況のもと、介護保険制度を存続させるためには、利用者の負担を引き上げて財源を確保するという方針です。