はたらく世代、これから資産運用を始めようと考える方にとって、最近では最も身近になりつつあるのがつみたてNISA ではないでしょうか 。そこで今回は 最近のつみたて NISA の口座開設の状況とつみたてNISA を使う際のメリットと注意点についてまとめていきたいと思います。
つみたてNISA の口座開設と利用状況
金融庁が2021年2月に発表した 「NISA・ ジュニア NISA 口座の利用状況調査」を見ていくと2020年12月末時点でつみたてNISA の口座開設数は300万8259口座となっています。
2020年の9月末時点でつみたてNISA の口座数は274万5490口座であったことを考えると3ヶ月で約25万口座も増えたことになります。こうした事柄非常に多くの方が興味を持ち、口座開設をしているということがわかります。
ちなみに NISAには、一般 NISA とつみたてNISA があります。加えてジュニア NISA というものもありますが、今回はつみたて NISA に話をフォーカスして進めていきたいと思います。
ではつみたてNISA はこれから資産運用を始める人にとってどのような点が魅力的なのかについて見ていきましょう。
つみたてNISA の唯一のメリット
つみたて NISA のメリットは、何と言っても非課税期間において、売却益や配当金などに税金がかからないということがあげられます。
つみたてNISA は、つみたてNISA の枠内で運用を開始して20年間は、先ほども触れたように、売却益や配当金に関して非課税のメリットを受けることができます。
ただし、1年間で投資ができる金額に制限があります。年間で40万円が上限となります。また、その最大40万円の非課税枠での投資を20年(20回)にわたって作り続けることができます。
極端なことを言うとつみたて NISA のメリットはこの非課税枠があるという点に尽きます。
話は横道に逸れますが、つみたてNISA と同様に資産運用をこれから始める方が検討される非課税枠のある投資制度iDeCoの場合には投資額が所得控除されるのに対して、つみたて NISA にはそのメリットありません。
つみたてNISA で気をつけておくべき三つの注意点
つみたてNISAはメリットばかりではありません。デメリットも見ていきましょう。
金融庁厳選の投資信託ばかりだがなかなか選べない?
つみたて NISA は何と言っても金融庁が監督をしている非課税枠のある投資制度です。金融庁も長期での資産形成をスムーズに始めてもらいたいという思いからだと思いますが、つみたて NISA で活用できる投資信託を厳選しています。
投資信託は現在約6000本程度あると言われていますが、金融庁はつみたて NISA を制度として整えるにあたって、投資信託と合わせて ETFを現在193本までに絞り込んでいます。
また、金融庁が厳選した投資信託などはいわゆるインデックス投資信託(インデックスファンド、インデックス投信)と呼ばれ、国内外を代表する株価指標や債券価格指標などに連動することを目指す投資信託となっており、運用に関わる費用である信託報酬も安いものが中心に揃えられています。
これから資産運用を始める資産形成層、また長期の資産運用に興味のある投資家には、非常に魅力的な品揃えとなっています。
ところが、金融庁が一生懸命厳選してくれた投資信託などではありますが、これまで資産運用をしたことがない、また投資信託に馴染みがないという方にとっては、193本という本数自体が非常に多く見えるというのも実際です 。
つみたて NISA 提供する金融機関は金融庁が厳選した193本の中からさらにピックアップをして利用者に提供しているため、個人投資家がこの193本の中から選ばなければならないということは必ずしもありません。
しかし、これから資産運用を始める人にとっては、いったいどのインデックスファンドを選べばよいのかということがわからないということも多いのではないでしょうか。
一口にインデックスと言っても、日本株式であれば日経平均株価や東証株価指数いわゆる TOPIX といったものがあり、また海外の株価指数に目をやれば、米国株であればS&P500やダウ工業平均株価、そして世界株式であれば先進国を中心にしたものや新興国を含む全世界株式などというように様々なものがあり、素人には「一体、何がどう違うのか」がわからないという現実があります。
また、バランス型投資信託(投信)と言われるような、株式や債券、リート(不動産)が含まれている投資信託においては、何パーセントを株式で持ち、何パーセントを債券で持つのがいいのかがよくわからないという声も聞きます。いわゆるアセットアロケーションの問題です。つみたてNISAのバランス型投信もそれぞれの資産はインデックスファンドであることがほとんどなので、ますます良く分からないということになります。
このように、インデックス投資信託と一口に言っても、なかなか選べないという現状があります。ネット証券会社でつみたて NISA の口座を開設したものを、どの投資信託を選んでいいのかよく分からないという方は多いのではないでしょうか。
意外と長期戦のつみたて NISA
つみたて NISA は長期投資に最適だというのは多くの方も認識されていると思いますが、思った以上に付き合ってくのは長いです。
例えば、40歳でつみたて NISA を始めたとして、最初の年のつみたて NISA の非課税期間が終わるのは20年後の59歳ということになります。
先ほどお話したように、つみたてNISAは、毎年最大40万円の「お金の塊」を作って20年間運用するという制度ですから、毎年作っていくとすると、最後の40万円を作るのが59歳ということになります。 したがって最後に作った40万円の 非課税期間が終わるのはなんと79歳ということになります。
もちろん、つみたて NISA を始める前提としては長期投資ということはありますが、ここでの例のように40歳で始めたとしても、つみたて NISA における非課税期間を最大限利用しようとするとその最後が79歳ということになります。
40年近く後のことを考えて始めるという方はかなり少ないでしょうけれども、 その間の20年間に毎年作り続けた40万円分の売却タイミングなども含めた意思決定を最低でも20回分は繰り返さなければならないということがわかりいただけると思います(一度にしてしまう人もいるかもしれませんが)。
20回分の投資判断は特に面倒くさくないという方にとってはなんてことはない話かもしれませんが、これから資産運用を始めるという方にとっては意外に億劫なことになるかもしれません。
非課税期間が終われば課税口座に
20年経過すると非課税期間が終了します。投資を開始して20年以内に売却していれば、仮に売却益があったとしてもつみたて NISA の枠内で買っていれば税金はかかりません。
しかし、非課税期間が終了した後も保有していた投資信託を全て売却しないといけないかと言うとそうではありません。 そのまま保有し続けていてもよいのですが、これまでの非課税口座から課税口座に移ります。
ではその後保有している投資信託の基準価格が上昇した場合どうなるのでしょうか。その場合、売却をしようとした際には、課税口座に移っているわけですから、含み益に対して税金がかかります。この点に関しては注意しといた方が良いでしょう。
また、初年度に投資をした金額よりも20年経って下落していた場合、どうなるのでしょう。もっともそのような状況は想像したくはありませんが、リーマンショックや ITバブルの崩壊のような大きなパニック的な売りがあった場合、世界の株式市場も数年かけて株価が半分になるようなことがあった事実もありますので、全くないとは言えません。
そうした場合には、つみたて NISA の非課税期間である20年が終わるとしても、売却したくないという方が多いのではないでしょうか。そうした方が非課税期間を経て課税口座に移行する際には注意が必要です。
例えば、初年度に40万円を投資して20年間保有し、最終年の資産価値が20万円だったとしましょう。 その場合、売却しても 売却損を確定するだけで、何のメリットもないのでそのまま保有し続けるという方も多いと思います。そういったケースで課税口座に移るとどのようなことが起きるでしょうか。
課税口座移行後に、その後保有している投資信託の基準価格が上昇し、資産価値が20万円から40万円にまで上昇した場合、投資家の心理としては、「やっと投資した金額に戻った」という安心感から売却したいという思いに駆られることでしょう。
ではその際、どんなことが起きることしょうか。 課税口座に移る際の再取得額が20万円なので、その後、資産価値が40万円にまでに上昇し、売却すると20万円の売却益が出ることになります。そうするとその20万円に対して税金が課せられることになります。投資家としては投資した評価額に戻っただけなのに課税されるとは一体何事かと思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、非課税口座を活用することで、その非課税期間が終わった後に課税口座に移る際の注意すべき点はまさにこの点にあります。
最も、20年経って、当初投資した額よりも評価額が下がっているというようなことは考えたくはありませんが、可能性としてはゼロではありません。 つみたてNISA を活用する際にはぜひ気をつけておきたいポイントです。
まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。つみたてNISA は資産形成層にとっては現在非常に熱量の高い人気のある投資制度です。その投資制度も金融庁が投資信託を厳選して提供してくれることで私たちの資産運用をスムーズに始めるように整備してくれていることも追い風となっているでしょう。
ただ、つみたて NISA は、基本的には口座開設、投資信託の銘柄選び、また 売却のタイミングの判断など、基本的にはすべてのアクションに対して自分自身の判断で行わなければならないという制度です。
残念ながら、これまで日本は投資教育に力を入れて来ず、多くの人達が資産運用の初心者という状況です。
つみたて NISA の口座を開設したものの、どの投資信託を買って言うのか分からないという方が多いというのは、皆さんも思い当たるところがあるのではないでしょうか。
自信を持って投資を行えるように、情報収集に努め、まずは始めるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
マネー編集部NISA班
