退職金の制度がない企業も
「自分は新卒入社後、転職歴が一度もないから安泰だ」と安心され方もいらっしゃるかもしれません。
でも要注意!「退職時には必ず退職金がもらえる」とは限りません。退職金の制度を設けるかどうかは、各企業の裁量に任されているからです。
退職金の制度を導入している企業の割合は徐々に低下しており、2018年で約8割(80.5%)となっています。
給付額については平均で1,700万円~2,000万円程度。これは、バブル期のピーク時と比べると約3割~4割程度の減少となっています。
こうした背景から、特に転職経験者の退職金事情は、決して楽観視できないことも予想されます。
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」(2018年)によると、退職給付制度がある企業は80.5%(先述)。
これを企業規模別に整理すると
- 1,000人以上:92.3%
- 300~999人:91.8%
- 100~299人:84.9%
- 30~99人:77.6%
となります。つまり、小規模の企業ほど、退職給付制度のない割合が高いというわけです。
さらに、退職給付制度がある割合は、産業の種類によっても異なります。退職給付制度がある割合が高い主な業種は、以下の通りです。
- 複合サービス事業(信用・保険・共済事業を行う協同組合や郵便局など):96.1%
- 鉱業、採石業、砂利採取業:92.3%
- 電気・ガス・熱供給・水道業:92.2%
では反対に、退職給付制度がある割合が低い業種もみてみましょう。
- 宿泊業、飲食サービス業:59.7%
- 生活関連サービス業、娯楽業:65.3%
- サービス業(他に分類されないもの):68.6%
いずれも50%以上ではありますが、あるとはいえ、これらの業種は退職給付制度がない企業が比較的多い傾向にあります。
金融審議会の報告書によると、1997年の平均退職給付額(全規模)は3,203万円だったのに対して、2017年は1,997万円まで減少しています。その差は約1,200万円と大きく、そのうえ退職給付制度そのものがない企業が増加しています。
会社員の方は、ご自身の勤務先に退職金制度があるかどうか、もらえるとしたら金額はどのくらいになるのか、をある程度把握しておくことをおすすめします。