新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で収入が減ったり職を失ったりと、経済的に苦しい人が増えています。

奨学金を返済中であれば、大きな負担になっていることも多いでしょう。筆者の夫もまさに返済中の身であり、長らく我が家の家計を圧迫してきました。

毎月の返済が難しくなった場合、一番NGなのは放置して延滞してしまうことです。貸与型の場合には返済義務があり、支払いが滞った結果、奨学金を理由に自己破産をする人も少なくありません。

困った時には、できるだけ早く救済制度を申請しましょう。今回は全国での受給者が多く、かつ我が家も返済を続けている「日本学生支援機構(JASSO)」の奨学金を例に、どんな制度を利用できるのかお伝えします。

※日本学生支援機構(JASSO)では「返還」という表現ですが、今回は「返済」という言葉も併用して解説します。

月々の返済額を減らす「減額返還」制度

日本学生支援機構(JASSO)には大きく分けて二つの救済制度があります。そのうちの一つが減額返還制度です。

減額返還制度とは、月々の返済額を2分の1または3分の1に減らせる制度です。返済すべき総額は変わらないため、月々の負担が軽くなる代わりに、返済期間はその分伸びることになります。

例えば月に1万円ずつ返済している人は、この制度を利用すれば月に5000円ずつの返済とすることが可能です。この場合は2分の1の金額となるため、2倍の期間をかけて返済していきます。最長で15年(180ヶ月)まで減額してもらうことが可能ですが、1年ごとに手続きが必要です。

この制度を利用するには、所定の審査に通らなくてはなりません。失業や経済的な困難、病気、災害といったしかるべき理由が必要で、経済的な事情の場合、給与所得がある場合は年収325万円以下(給与所得以外は年間所得225万円以下)といった基準もあります。

生活が大変でも少しずつなら返済できる状況であれば、この減額返還制度を申請しましょう。

返済を一時ストップする「返還期限猶予」制度

そしてもう一つの制度が返還期限猶予制度です。

返還期限猶予制度とは、奨学金の返済を一時的に止めることができる制度です。先ほどの減額とは違い、一時的ではありますが、奨学金の負担をゼロにすることができます。そしてこちらも返済すべき総額(利息を含む)は変わりません。

この制度も同様に審査が必要です。経済困難、病気や災害といった理由は同じですが、収入基準は少し厳しくなり、給与所得がある場合は年収300万円以下(給与所得以外は年間所得200万円以下)という条件になっています。

最長で10年返済を先送りすることができ、1年ごとに申請が必要です。なお災害や病気、生活保護受給中など一部の理由に該当する場合は、その状態が継続している期間の猶予となります。

かなり生活が苦しく、減額しても払い続けられない場合は、この返還期限猶予制度を願い出ましょう。ただし減額とは違う「先延ばし」なので、いずれは同額の返済が再開することは認識しておいてください。

一番やってはいけないのは「延滞」

冒頭でも触れましたが、奨学金の返済に困った人が一番やってはいけないのが延滞です。奨学金はいわば「借金」です。返済がきついからといって放置して延滞すれば、以下のような事態が待っています。

  • 減額返還制度の審査を受けられなくなる
  • 延滞金が発生する
  • 本人、連帯保証人、保証人に対して文書と電話で督促が行われる
  • 個人信用情報機関(ブラックリスト)に登録される

早めに申請すれば減額返還制度という手段もありますが、一度でも滞納すれば審査対象から外れてしまいます。そして延滞した分だけ延滞金が発生し、結果的に返済額がどんどん膨らむことに…。

自分だけでなく保証人も巻き込んだ上、自宅への訪問、勤務先への電話などは精神的にもかなり辛いものでしょう。

3ヶ月以上滞納となると、個人信用情報機関、いわゆる「ブラックリスト」に延滞者として登録されます。この場合、社会的な経済的信用を失い、クレジットカードが発行できなかったり、各種ローンを組めなかったりすることもあります。

こんな事態を避けるためには、絶対に滞納はしないこと。減額返還制度や返還期限猶予制度は、途中で通常の返済に戻すこともできます。無理をせず頼るべき時に頼りましょう。

なお、時には手続きがスムーズにいかない場合もあるようで、ギリギリの手続きはおすすめしません。トラブルを防ぐため、できるだけ早めに行動してください。

さいごに

多くの学生が利用している奨学金。当時はあまりよく分からずに借りていて、社会人になって初めて返済の大変さに気付いた人も多いはずです。

このコロナ禍においては、まさかのリストラや減給、ボーナスカットなども珍しくありません。順調に返済できる予定だったのに、まさかの事態に陥ったケースもあるでしょう。

そんな時に今回紹介した救済制度を知っておけば、きっと大きな助けになってくれるはずです。きちんと理解し、苦しい時期を乗り切れるようにぜひ覚えておきましょう。

参考資料

  • 独立行政法人日本学生支援機構「奨学金

田原 未沙記