金融機関の窓口は「五十日(ごとおび)」が忙しいと言います。

五十日とは、毎月5の倍数に該当する日のことで、企業が決済日や給料日に指定していることが多く、信用金庫に勤務していた時は、五十日は金庫内やATMの現金がなくならないように、現金の量を調整していたものでした。

しかし、住宅街の支店になると、特に偶数月の15日が混雑するというケースがあります。これは、偶数月の15日が年金の支給日だからです。

2ヶ月に一度の年金支給日。通帳と印鑑を持って来店される人々の笑顔を見ながら、年金生活に憧れを抱いたものでした。

このように私は大学卒業後、信用金庫での勤務経験があり、FPの資格を持つファイナンシャルアドバイザーとして、多くの方のファイナンシャルプラニングに関わってきました。

そこで今回は、みんなの憧れの年金生活の実態、現在の年金の支給実態について見ていきたいと思います。

最新のデータでみる現在の年金の支給額はいくらか

まずは、現在の年金受給者が毎月いくら年金を受け取っているのか、その実態を最新のデータの中からみていきたいと思います。

令和2年12月公表の厚生労働省年金「令和元年度厚生年金・国民年金事業の概況」によると、男女別の年金月額階級別老齢年金受給権者数は以下の通りです。

年金月額階級別老齢年金受給権者数(男性)

  • ~5万円未満:15万977人
  • 5~10万円未満:97万6724人
  • 10~15万円未満:261万3866人
  • 15~20万円未満:436万9884人
  • 20~25万円未満:224万9128人
  • 25~30万円未満:28万8776人
  • 30万円以上:1万7626人

年金月額階級別老齢年金受給権者数(女性)

  • ~5万円未満:31万5100人
  • 5~10万円未満:234万1321人
  • 10~15万円未満:218万2510人
  • 15~20万円未満:41万2963人
  • 20~25万円未満:6万3539人
  • 25~30万円未満:4166人
  • 30万円以上:379人

男女別の平均年金月額は、男性で16万4770円、女性で10万3159円です。

老後は働いている時と比べ、支出は減りそうですが、家賃、食費、光熱費などの固定費はかかります。この金額をみて「自分は年金だけで暮らしていけるのだろうか」と不安に思った人も多いのではないでしょうか。

特に、老後も住宅ローンの返済が残っている人、老後も賃貸物件に住む予定の人は、居住にかかる費用負担が大きいので、何か対策が必要と言えるでしょう。