入居率はこの10月時点で77.5%と80%を下回っています(一般に80%以下になるとオーナーへの支払いが家賃収入を上回る「逆ざや」になると言われています)が、実はコロナ禍前の1月時点では80.2%まで回復しており、コロナ禍からの経済回復とともに入居率は徐々に上昇していくとみられます。
また、施工不良があった“優先調査対象物件”に限定した入居率も、補修が完了し新規募集を再開できる物件が増えたため、昨年に記録した最低値57.1%(10月)から今年は66.1%(10月)へと回復しており、少しずつ新規入居者が増えていることがわかります。
21年3月期通期の業績予想は、売上高4311億円と前期比わずか0.6%減であり、当期純利益も722億円増の▲80億円と、すでにどん底は乗り越えたと言ってよさそうです。
しかし、要改修戸数のうち改修が完了しているのは10月末で2割強にすぎません。この補修工事を進めるのと並行して、コアとなる賃貸事業の入居者層の拡大やオーナーの信頼回復をいかにスピーディーに行っていけるかが今後のポイントとなるでしょう。
まとめ
レオパレスは施工不良問題によって深刻な入居率の低下に陥り、倒産が噂されるまでに業績が悪化しました。債務超過の危機は投資ファンドの支援でしのぐことができましたが、従来の勢いを取り戻すにはまだしばらく時間が必要なようです。
また、今後フォートレス・インベストメント・グループが経営にどのような影響力を及ぼしてくるかについても、注視していく必要があるでしょう。
【参考資料】
株式会社レオパレス21 2021年3月期第2四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)
株式会社レオパレス21 2021年3月期第1四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)
株式会社レオパレス21 2020年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
株式会社レオパレス21 2020年3月期 決算プレゼンテーション資料
株式会社レオパレス21 2019年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
株式会社レオパレス21 「改修等の進捗状況について」2020.10.31現在
山口 伸