9月末時点で171億円の債務超過となった賃貸大手のレオパレス21(8848)。2018年に発覚した施工不良問題以来、業績は悪化の一途をたどり、債務の解消を図るためにソフトバンクグループ(SBG)傘下の米投資ファンドからの支援を受け入れました。今後の事業立て直しの見通しはどうなのでしょうか。

いまだ解決途上の「施工不良問題」が業績を下押し

「債務超過」は会社の抱える負債が総資産を超えること──つまり理論上、会社の資産を全て売却しても借金を返しきれないことを意味します。

レオパレス21(以下、レオパレス)のような上場企業では、上場廃止の要因にもなります。債務超過が続けば銀行から融資が受けられなくなり、遠からず資金がショートして倒産に追い込まれる、かなり危機的な状況です。

レオパレスの業績不振は、2018年5月に発覚した施工不良問題、いわゆる「界壁」問題に端を発しています。

レオパレスが建築した賃貸アパートで、耐火性能や遮音性能にかかわる「界壁」と呼ばれる部材が使われていない、あっても施工不良であるなど、建築基準法違反の疑いのある建物が次々と見つかり、改修が必要な物件は全国で1万3600棟以上、戸数にして19万5000戸以上にのぼりました。

こうした生活の安全を脅かすような偽装事件は、企業の存続に致命的な打撃を与えます。

たとえば、2000年に起きた雪印乳業の集団食中毒事件では1万4000人以上が被害を受け、翌年の子会社による牛肉偽装問題も相まって雪印ブランド製品の販売は急減。2000年3月期に1兆2000億円を超えていた連結売上高は、2003年3月期には8000億円を下回っています。

レオパレスの施工不良問題も入居率の低下をもたらし、売上高を急速に押し下げています。問題物件の新規入居者募集を停止したことが響いているのはもちろんですが、消費者に与えてしまった不信感も入居率に影を落としているのではないでしょうか。

では、レオパレスの事業内容と債務超過に至るまでの業績の推移を見てみましょう。