日本人は前例主義から脱却できるか? 押印廃止では印鑑業者への「割増退職金」も一手

押印廃止をスムーズに進めるためには、印鑑業者に「割増退職金」を支払うことが有益だ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

政府は押印文化の見直しへ

政府は、押印文化を見直すことにしたようです。もともと押印には法律的な意味があるわけではないので、これを廃止すれば行政の効率化になるでしょう。決済文書への押印は電子化すれば良いでしょうし、各種届出への押印は不要でしょう。100均で買ってきた三文判を押せば良いのなら、押さなくても同じですから(笑)。

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これに倣って民間でも押印廃止の動きが出てくることが期待されます。「在宅勤務なのに押印のために出社した」といった話も聞かれるので、決済印は電子化すれば良いですし、契約は両者が合意すれば成立するので、押印は法的には不要ですから。

印鑑製造業者への配慮が必要

問題は、印鑑製造業者が一気に仕事を失ってしまいかねないことです。競争に負けて仕事を失うリスクはビジネスを行う際には当然にあるわけですが、今回はそれとは事情が異なります。

政府が「気が変わった」からビジネスを失う、というのは可哀想な気もしますし、何よりも反対運動が起きかねないからです。競争に負けて退出する企業は、勝者に対して反対運動を起こすことができませんが、政府の方針変更で退出を迫られる企業は政府に対して反対運動をすることが可能ですから。

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塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行
おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。
現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。
(近著)
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(雑誌寄稿等)
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