万が一にも印鑑業界の反対によって押印文化の見直しが滞るようなことになっては、損失が大きすぎます。したがって、彼らに静かに退出してもらうために「廃業奨励金」を支払うのです。
会社の都合で従業員に辞めてもらう場合、解雇するのはかわいそうだし反対運動も起きそうだから、「割増退職金」を支払うことで円満に退職してもらおう、というのは企業では珍しくないでしょうから、今回もその発想を応用しよう、というわけです。
正義の問題は若干面倒だが
廃業奨励金など不要だから、どうしても印鑑製造業を続けたい、という業者もあるでしょう。そういう業者を無理に廃業させるのはかわいそうだ、ということは言えそうです。
彼らに廃業してもらうことが国全体としては利益になるわけですが、だからと言って「絶対嫌だ」という人を無理矢理廃業させるというのはいかがかと思います。
もっとも、そうした業者は腕が良いでしょうから、実印等々のニッチな分野で生き残っていけるでしょう。過度な懸念は不要でしょう。
反対に、なぜ印鑑製造業者だけを優遇するのか、という議論もあるでしょう。それについては、政府の都合で酷い目に遭う人には原則として補償すべきだ、と考えます。たとえば新型コロナ対策として、休業要請を受けて休業した飲食店等々です。