子育てや教育、働き方の変化など、ライフステージによって家計の負担は大きく変わります。

近年は子育て世帯やひとり親世帯などを対象にした支援制度が拡充されており、条件を満たせば給付金や保険料の軽減といったサポートを受けられる可能性があります。

しかし、こうした支援制度は種類が多く、内容を知らないまま見過ごしてしまうケースも少なくありません。

本記事では、子育て世帯向けの給付から社会保険料の減免、移住支援まで、家計を支える主な公的制度を分野別に整理し、どのような人が対象となるのかを分かりやすく確認していきます。

1. 子育て世帯向けの支援制度5選

お子さまがいる家庭ならなじみ深い制度もあると思いますが、子育て世帯向けの支援は年々充実しており、2025年度から新たに開始された制度もあります。

ひとつずつチェックしていきましょう。

※詳細は各制度の公式Webサイトにてご確認ください。

1.1 出産育児一時金

出産育児一時金は、公的医療保険に加入している方が出産した際に支給される給付金です。

所得制限は一切なく、住民税課税世帯・非課税世帯を問わず支給されます。

【支給額】

  • 原則50万円(産科医療補償制度に加入している医療機関での出産)

【対象者】

  • 会社員・公務員・自営業などすべての健康保険加入者とその被扶養者

出所:厚生労働省「出産育児一時金等について」

1.2 出産手当金

出産手当金は、被保険者が出産のために仕事を休み、その間の給与を受けられないときに支給される給付金です。

【支給額】

  • 標準報酬日額の約3分の2×日数

【対象者】

  • 健康保険(協会けんぽ)に加入している被保険者

出所:全国健康保険協会「出産手当金」

1.3 育児休業等給付

育児休業等給付として、子どもの年齢や養育の状況に応じて、要件を満たす場合に「出生時育児休業給付金」「育児休業給付金」「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」が支給されます。

【支給額】

  • 給付金ごとに異なる

【支給期間】

  • 最長2歳に達する日の前日まで

【対象者】

  • 雇用保険に加入しており、一定の要件を満たす労働者

育児休業等給付について1/8

育児休業等給付について

出所:厚生労働省「育児休業等給付について」

1.4 児童手当

児童手当制度の概要2/8

児童手当制度の概要

出所:こども家庭庁「児童手当制度の概要」

児童手当は、0歳から高校生まで(18歳到達後の最初の3月31日まで)の子どもを養育している方に支給される手当です。

2024年10月の制度拡充により、所得制限が完全に撤廃されたため、保護者の所得額に関わらず、すべての対象児童に対して手当が支給されるようになりました。

以前は「所得上限限度額」を超過して手当や特例給付を受け取っていなかった世帯も、現在は支給対象となっています。

ただし、これらの方々が受給を開始するにはお住まいの自治体への申請が必要ですので、手続き漏れがないよう注意が必要です。

【支給額】

  • 0~2歳:月1万5000円(第3子以降は3万円)
  • 3歳以上高校生年代まで:月1万円(第3子以降は3万円)

【対象者】

  • 子を養育する保護者(住民税課税世帯も含む)

出所:こども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当」

1.5 高校生等臨時支援金

高校生の授業料を支援する制度として「高等学校等就学支援金」があります。

さらに、2025年度は新たに「高校生等臨時支援金」が創設され、課税世帯の中間~高所得層も対象になります。

【支給額】

  • 就学支援金:年額11万8800円~39万6000円
  • 臨時支援金:年額11万8800円

【対象者】

  • 就学支援金:年収約910万円未満の世帯
  • 臨時支援金:年収約910万円以上の世帯

高等学校等就学支援金および高校生等臨時支援金3/8

高等学校等就学支援金および高校生等臨時支援金

出所:文部科学省「高等学校等就学支援金・高校生等臨時支援金リーフレット(概要版)」

2. ひとり親世帯向けの支援制度3選

ひとり親世帯の場合は、以下のような支援制度を利用できます。

2.1 児童扶養手当

児童扶養手当は、離婚や死別、未婚などによりひとり親となった家庭の経済的負担を軽減するため、給付金が支給される制度です。

住民税課税世帯でも、所得額が一定以下であれば支給対象になります。

【支給額(2025年度)】

  • 第1子:月額最大4万6690円(所得に応じて段階的に減額)
  • 第2子以降:月額最大1万1030円

【対象】

  • 18歳到達年度末までの児童を養育しているひとり親

【所得制限】

  • 全部支給(2人世帯):190万円
  • 一部支給(2人世帯):385万円

児童扶養手当について4/8

児童扶養手当について

出所:こども家庭庁「児童扶養手当について」

2.2 ひとり親家庭等医療費助成制度

ひとり親世帯の保護者およびその子どもが病院を受診した際に、健康保険の自己負担分を公費で助成するもので、課税世帯であっても所得制限内であれば対象となります。

多くの自治体で制度名称や助成内容に差があります。

【対象となる医療費】

  • 保険診療にかかる自己負担分(入院・通院・調剤など)

【助成内容】

  • 医療機関窓口で支払う医療費を全額または一部助成

【所得制限】

  • 市区町村民税所得割額による。課税世帯でも条件内であれば対象

参照:東京都福祉局「ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)」

2.3 高等職業訓練促進給付金

高等職業訓練促進給付金は、ひとり親家庭の親が看護師や保育士などの資格取得を目指す際、学習期間中の生活費を支援する制度です。

【対象者】

訓練開始日以降、次の要件を満たすひとり親の方

  1. 児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準(※1)にある方
    ただし、所得水準を超過した場合であっても、1年に限り引き続き対象者とします。
    ※1 例:お子さんが1人の場合、1年間の収入が385万円未満
  2. 養成機関において6月以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得等が見込まれる方
  3. 仕事または育児と修業の両立が困難であると認められる方

【支給内容】

  1. 訓練期間中、月額10万円(住民税課税世帯は月額7万500円)
    ※訓練を受けている期間の最後の1年間は支給額を4万円増額
  2. 訓練修了後、5万円を支給(住民税課税世帯は2万5000円)

高等職業訓練促進給付金のご案内5/8

高等職業訓練促進給付金のご案内

出所:こども家庭庁「高等職業訓練促進給付金のご案内」

3. 社会保険料の減免制度2選

ここまで子育て世帯の支援制度を中心にご紹介してきましたが、ここでは自営業やフリーランス等が活用できる減免制度を取り上げます。

3.1 国民健康保険料の軽減

自営業者やフリーランスの多くが加入する「国民健康保険」には、収入の大幅な減少や失業・災害などがあった場合に、保険料の一部または全額が減免される制度があります。

住民税課税世帯であっても、前年に比べて所得が大きく落ち込んだ場合などには適用される可能性があります。

【主な対象者】

  • 所得が一定の基準を下回る方
  • 災害、病気、失業その他特別の事情がある方

【減額割合】

  • 所得に応じて7割・5割・2割

国民健康保険料・保険税の軽減について6/8

国民健康保険料・保険税の軽減について

出所:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」

3.2 国民年金保険料の免除・納付猶予制度

自営業者やフリーランスが加入する「国民年金」は、原則として毎月定額の保険料を納付する必要がありますが、所得の減少や失業等により納付が困難な場合には、保険料の全額または一部を免除・猶予する制度があります。

【免除区分】

  • 全額免除/4分の3免除/半額免除/4分の1免除/納付猶予

【対象者】

  • 保険料免除:本人・世帯主・配偶者の前年所得が基準以下の方
  • 納付猶予:20歳以上50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が基準以下の方 (※いずれも課税世帯でも要件を満たせば対象になります)

※失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できた場合は、前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります。

参照:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

4. 教育訓練給付金

教育訓練給付金とは、働く人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定や再就職の促進を目的とした制度です。

厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した場合、受講にかかった費用の一部が給付金として支給されます。

教育訓練給付金には、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があります。

【支給内容】

  • 専門実践教育訓練:教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6ヵ月ごとに支給
  • 特定一般教育訓練:教育訓練経費の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給
  • 一般教育訓練:教育訓練経費の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給

※一定の条件を満たすと支給額が増える場合もあります。

5. 移住支援

東京23区に在住または通勤する方が東京圏外(東京圏内の条件不利地域を含む)へ移住し、起業や就業等を行う方場合に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業です。

5.1 【対象者】

下記すべてに該当する方

  1. 【移住元】東京23区の在住者または東京圏から東京23区へ通勤している者
  2. 【移住先】東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域への移住者(移住支援事業実施都道府県・市町村に限る)
  3. 【就業等】地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的起業などを実施

5.2 【支給内容】

世帯の場合は100万円以内(18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は18歳未満の者一人につき最大100万円を加算)、単身の場合は60万円以内で都道府県が設定する額

6. 自分の世帯が対象になる制度がないかチェックしよう

子育てや働き方、住まいの選択など、ライフステージが変わるたびに家計の悩みも少しずつ姿を変えていきます。

今回紹介した制度の多くは、特別な人だけのものではなく、条件さえ合えば誰でも利用できる身近な支援です。

それでも「知らなかった」「申請していなかった」という理由で受け取れないケースは少なくありません。

制度は年々見直され、対象者や内容が変わることもあります。

だからこそ、一度確認して終わりではなく、家族の状況や働き方が変わったタイミングで改めてチェックしてみることが大切です。

参考資料

加藤 聖人