昨年は米中貿易摩擦が世界経済の成長をじわじわと減速させましたが、今年は何より新型コロナウイルスの感染拡大が景気に大打撃を与えました。大手・上場企業から零細企業まで多数の企業が減収減益を記録し、今年度の業績予想を下方修正しています。

しかしそんな状況下でもシマノ(7309)は業績を上方修正しました。10月27日の発表では、2020年12月期の連結純利益が前期比24%増の643億円になる見通しとされています。これは従来予想から60億円上振れた数字です。

コロナショック下で何がシマノの追い風となったのかを見ていきましょう。

コロナ禍にあえぐ製造業にあって、明るい見通しを示すシマノ

新型コロナによる経済への影響はリーマンショックを超えました。リーマンショックは投資や融資が滞るという資金供給面から発した負の影響でしたが、今回のコロナ禍は需要が消滅するという直接的な景気の悪化です。勤め先が倒産したり、給料が減額されたりしていない人々もすべてが当事者となり、感染を防ぐために外出・消費を控えました。

外出を控える動きは人々の車の購入にも影響し、マイナス幅がもっとも深刻だった5月の国内新車販売台数は前年比で45%も減少しています。自動車産業を基幹とする日本の製造業は連鎖的に影響を受けやすいため、部品メーカーや素材・機械業界各社は今年度の業績予想を未定もしくは減収減益とすることを余儀なくされました。

このように製造業にとって苦しい状況であったにもかかわらず、シマノは売上げを伸ばし、今年度の業績予想を上方修正するに至りました。そこにはシマノの事業ドメインの強みが関係しているようです。