つみたてNISAだけで老後資金は充分か

さて、つみたてNISAがどのような制度か分かったところで、今度はつみたてNISAだけで資産形成した場合、老後資金として充分なのかを確認してみましょう。

毎年投資出来る金額は40万円です。

これを運用できる最長の20年で運用した場合いくらになるでしょうか。

仮に5%で運用できる投資信託を選んだ場合、出来上がりは約1300万円です。

一昨年、金融庁のレポートで金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」というものが発表され、「老後2000万円問題」が話題となったのですが記憶にあるでしょうか。

ざっくりいうと、老後は年金収入の他に2000万円が足りなくなるというものでした。
となれば先程つみたてNISAで運用して出来上がった1300万円という数字では不足しているということになります。

ただしこの「老後2000万円」には含まれていない費用があります。

老後2000万円問題からつみたてNISAだけでは足りない要素を探る

さて「老後2000万円問題」に含まれていない金額とはなんのことでしょうか。
まずは2000万円という数字が出てきた根拠からご紹介します。

報告書によると、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの高齢夫婦世帯がモデルとなっています。

同資料内の「第 21 回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料」によれば、この世帯の毎月の収支は、以下の通りです。

  • 収入(おもに年金)約209,198円
  • 支出(おもに食費)約263,718万円

毎月の赤字として計算すると約5.5万円となっています。

この赤字分を年間で計算し、老後が30年続いたと仮定して出た金額が下記なのです。

5.5万円×12ヶ月×30年=1980万円

この計算が2000万円問題の根拠となった計算式でした。

では2000万円に含まれていない費用が何になるかですが、大きく2つの費用があります。
そしてこれこそがつみたてNISAだけでは不安な理由でもあるのです。

1つ目が家賃です。
2000万円の金額は持ち家が前提となっており、住居費用が14000円弱となっているのです。
今は生活スタイルの変化もあり、昔と違って家を持たないという方も多いようです。

ただ、もし老後も賃貸で住むとお考えの場合は、当たり前かもしれませんが家賃の備えが別途必要となりますので注意しておきたいところです。

仮に家賃5万円もしくは10万円の賃貸で住んだ場合、老後30年間でいくらになるか出してみましょう。

家賃5万円の場合

5万円×12ヶ月×30年=1800万円

家賃10万円の場合

10万×12ヶ月×30年=3600万円

5万円の家賃だった場合でも、2000万円の他に1800万円もの上乗せが必要となることが分かります。