新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけとした外出自粛やテレワークへの切り替えなどにより、家族と自宅で過ごす時間が増えた人も多いでしょう。

「おうち時間」が長くなることで、これまで気がつかなかった、あるいは見て見ぬふりをしてきた夫婦間の家事・育児シェアにまつわる問題が表面化しているという指摘があります。

共働き世帯が増え、家事・育児の分担を巡ってパートナーへの不満を抱える夫婦が少なくないようです。そこで、夫婦それぞれの本音と、価値観をすり合わせてよりよい関係性を築くためにはどうしたらいいのでしょうか。

共働きが増えても「家庭を守るのは妻の役目」

内閣府が2020年7月に発表した「令和2年版(2020年)男女共同参画白書」では、男女それぞれが家事や育児、介護などにかける時間と仕事をする時間の変化について、以下のように概要を記しています。

  •  「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という、いわゆる性別役割分担の考え方について、「反対」と「どちらかというと反対」を合わせた回答が男性の約55.6%、女性の約63.4%を占めており増加傾向にある。
  •  女性が家事・育児・介護にかける時間は、晩婚化や未婚化の影響を受けて減少しているものの、既婚女性においてはほぼ変化なし、もしくは増加している。
  • 6歳未満の子を持つ共働き世帯において、妻は育児のために仕事を削って家事や育児などの時間を大幅に増やしており、夫は仕事を削ることなく可能な範囲で家事時間などを増やそうとしている。
  •  女性が仕事にかける時間は増加しているが、共働き世帯のほとんどの妻が短時間勤務であり、働く時間は圧倒的に夫の方が長い。

共働き世帯でもいまだに稼得役割の多くを夫が担っており、妻が家事や育児のために自分自身の生活バランスを大きく変えて、家族のライフステージの変化に対応している現状がうかがえます。

「夫は外で仕事、家のことと子育ては妻の役目」という考え方に否定的な人が増え、男女が共同で家庭を運営する意識が浸透しつつあるものの、依然として「妻が主体となって家庭を守っている」世帯が多いのが実態のようです。