疲弊する妻たち
性別役割分担に対する意識は変化しても、家事・育児の大部分を女性が担っている現状で、仕事と家庭の板挟みになっているのが共働き家庭の妻たち……。
役割が多すぎる
2人の子供を育てるAさんの話を聞いてみましょう。
「仕事や身の回りのことはもちろん、子どもと夫の世話に家事全般、義実家とのやりとり、子どもの通う園や学校の先生やママたちとの付き合いに、PTAの係…。自分の役割と負担が多すぎて常に疲れている状態です。
生活するにはどうしてもお金が必要で、現に共働きの家庭もどんどん増えていますよね。でも、夫は『家のことや子どもの世話は稼ぎが少ないお前がやるべき』の一点張り。私だけが家の中でも外でもやることに追われています。夫にはゴロゴロするだけの休日というオフがちゃんとあるのに、私にはそんな日はありません」
「見えない家事」問題
Aさんは、勤務形態や収入の差を理由に家事・育児のほぼすべてを丸投げされている状態に疲れ切っていました。さらに、自分が日々こなしている家の中の仕事が「価値のある労働」だと認められないことにもストレスや虚しさを感じていました。
近頃よく聞かれるようになった「名もなき家事」の問題。例えばゴミ捨てのために家中のゴミを集めて分別し、ついでに排水溝を掃除し、最後に次のゴミ袋をセットするまでの一連の作業が挙げられます。
ほかにも、いつでも清潔に調理できるようにまな板をこまめに漂白すること、吸い込みが落ちないように掃除機のフィルターを掃除することなども。「料理」や「掃除」といった目に見えてわかりやすい作業だけでなく、それを円滑に進めるために必要な「下準備」があるからこそ、毎日快適な生活が送れるのです。
この「名もなき家事」に奔走する妻たちに対して、夫たちは感謝したり労ったりするどころか、そもそも妻たちがそうした業務を日々担っていることに気付いていない場合も少なくありません。