(2)妻は会社員で厚生年金に加入、夫が専業「主夫」のケース

妻が会社員(第2号被保険者)の場合、扶養されている夫は第3号被保険者となり、年金保険料の負担はありません。

加入履歴が国民年金のみであれば、夫が65歳以降に受給できる年金は老齢基礎年金で、満額で月額約6万5000円と想定されます。妻(第2号被保険者)は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することになります。

モデル世帯との受給額の違いを想定しておく必要性も
厚生年金は収入(標準報酬月額)により年金額に違いが出てきます。そのため前述の厚労省のモデル世帯と比較して、家庭ごとに年金額が異なる見込みです。老齢基礎年金(国民年金)は加入月数のみが支給額に反映されますが、老齢厚生年金は給与が年金額に反映されます。

ここで、国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」から、給与所得者の1人当たりの平均給与を、雇用形態別にみていきます。

■正規雇用者の平均給与:503万5000円
・男性:559万9000円
・女性:386万円

■非正規雇用者の平均給与:179万円
・男性:236万円
・女性:154万1000円

モデル世帯では男性の平均給与をもとに老齢厚生年金の受給額を算出していますので、老齢厚生年金の額については個人差がある点を想定しておく必要があるといえるでしょう。

老齢年金の見込み額については、毎年誕生月に日本年金機構から郵送される「ねんきん定期便」で、過去の第1号被保険者期間、厚生年金加入期間、受給資格期間を確認できます。また、「ねんきんネット」でも個人の年金見込み額について詳細に確認できます。

●第3号被保険者の「主夫」が受け取る遺族年金について●

第2号被保険者である妻が先立った場合、生計を維持されていた夫は遺族厚生年金の支給対象となる可能性があります。ただし年齢面での要件があり、

  • 妻が亡くなった当時、夫が55歳以上であること
  • 支給開始は夫が60歳になってから

などの条件があります。(※6)

一方、国民年金がもととなる遺族基礎年金については、死亡した人に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受給対象となります。子については

  • 18歳になった年度の3月31日まで
  • 20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態にあること

上記のどちらかを満たし、かつ、婚姻していないことが条件となります。(※7)