紅ショウガの“テンコ盛り”が消滅の危機?

ところで、吉野家はコロナウイルス感染拡大予防のために、店内でも紅ショウガの小袋配布を実施し始めています。

ご存知の通り、店内飲食ではテーブルやカウンターに置かれている紅ショウガは取り放題です。牛丼に紅ショウガをたくさん乗せる“テンコ盛り”は、吉野家ファンに必須アイテムなのは周知の事実。牛丼だけでなく、「定食」「御膳」でも取り放題です。

時々、SNSを意識して常軌を逸した不届き者の行為(10cmくらい山盛りにする等)が見られるのは残念ですが、店内飲食の大きなメリットになっていることは確かです。

ところが、コロナ感染予防の観点から、小袋に入った紅ショウガを出す店舗が出始めています。この小袋入り紅ショウガはテイクアウトの際に付けてもらうものでしたが、それを店内飲食で使用し始めたというわけです。

筆者が調べた限りでは全国で一斉導入というわけではなく、店舗ごとで判断されているようですが、実施店舗が増えていることは間違いありません。確かに、感染予防という意味で仕方ない面はありますが、店内飲食の楽しみが一つ減ったことでモチベーションが下がる吉野家ファンがいても不思議ではありません。

先日、筆者も3カ月ぶりに吉野家に行きましたが、本当に小袋入りになっていました。それまでのような“テンコ盛り”にするためには、少なくとも10袋、人によっては20袋くらい必要でしょうが、小心者の筆者は「10袋ください」とは言い出せませんでした。

吉野家HDの株価低迷の一因が、事実上の紅ショウガ“テンコ盛り”廃止というわけではないでしょうが、これを悲報と受け止める吉野家ファンは少なくないかもしれません。

【参考資料】
2020年2月期 決算説明会資料(吉野家HD)
吉野家月次推移(2020年度)

葛西 裕一