新型コロナ不況が深刻化して銀行の不良債権が増えると、取り付け騒ぎが発生する可能性も考えておくべきだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

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新型コロナ不況の深刻化にともなって、金融危機の発生を心配する人が増え始めているようです。そこで、リスクシナリオとして金融危機を考えるシリーズを記すことにしました。第3回の今回は、銀行の取り付け騒ぎの可能性です。

取り付け騒ぎは合理的な行動に基づくから対応が困難

「あの銀行が倒産しそうだ」という噂やデマが流れた時、預金者が取るべき合理的な行動は、急いで預金を引き出すことでしょう。噂が誤りであった場合でも失うものはありません。強いて言えば銀行まで行く手間くらいです。

一方で、噂が本当であれば、預金を失ってしまうかもしれないわけですから、引き出しに行くのが合理的です。

そう考えて多くの預金者が預金の引き出しに殺到すると、銀行が倒産する確率は高まります。そうなると一層、「自分も引き出す」ことが預金者としての合理的な行動になるわけです。

したがって、取り付け騒ぎは厄介です。そこで、様々な対策が採られているわけです。