具体的なアクションを起こす経営者はというと、外部業者から支援を受けつつも、個別に短期海外出張などで苦労して現地人脈や情報を得て、素早く経営判断を下していました。

「百聞は一見にしかず」という諺はあるものの、訪問先のアポ取得、レストラン・宿泊先など全てが段取りされた大名行列ツアーに参加するだけでは、その国で仕事するイメージも見えてきませんし、目に見える成果は得られないでしょう。

見聞を広めるという目的は、ある程度、満たされるのかもしれませんが、それが後々、様々な経営判断にどれほどプラスに作用するかは未知数です。

他方、それにつき合って時間を無駄にされた訪問先などの人々には不満が募ります。

いつの時代も、メディアなどが助長する投資ブームがあり、日本人ビジネスマンの海外ツアーは特定の国・地域に集中する傾向があります。実際に、米国、中国、東南アジア、ベトナム、インド、シリコンバレー、オランダ、エストニア等々、現地では「お勉強ツアー」だと揶揄されて日本人の評判を下げてきました。

私自身も、かつて個人的に親しいベトナム人に「日本人の訪問は時間の無駄("a waste of time”)」だと言われたことがありましたが、親しいからこそ正直に言ってくれたのだと思います。

今はコロナ騒動で「海外視察ツアー」どころではありませんが、こういう「行事」はこれを契機におおむね無駄(あるいは迷惑)だったと再考され、消えていくことでしょう。なお、海外在住の日本人としては、これ以上、海外で日本人の評判を下げないよう、復活しないことを祈っています。

余談ですが、すでに安価な参加費でバーチャル海外視察会なるサービスもみられますので、それで十分なのではないでしょうか。費用対効果も良さそうですし…。