向こう1年内に多くの飲食店が経営破綻する可能性
しかし、今般のコロナ禍による飲食店の危機は本当に去ったのでしょうか? いや、危機が去ったどころではなく、これからが本当の正念場だと言えます。飲食店を取り巻く環境を勘案すれば、向こう1年間で現在ある飲食店の最大3割は破綻(倒産・閉店・廃業)に追い込まれる可能性が高いと考えます。
飲食店といってもカテゴリーは幅広く、規模の大小や地理的条件なども異なるため、一概に判断することはできませんが、あくまで一般的な飲食店という意味で見てみましょう。飲食店の今後を占う上で最も重要なポイントことは、言わずもがな売上の回復です。
しかし、冷静になって考えると、飲食店の売上は、少なくとも向こう1年間、コロナ禍以前のピーク時比で見た場合、最大でも3~4割程度に止まると考えられます。これを要因別で見てみます。
向こう1年間、インバウンドの来店客はほぼゼロになる
いわゆるインバウンド需要(外国人)は、ほとんどゼロに近いと見るべきでしょう。ご存知の通り、国内の緊急事態宣言は解除されましたが、訪日外国人の入国制限が解除される見通しは一向に立っていません。
今後は段階的に解除されると見られますが、最初の緩和が始まるのは最速で今年の夏過ぎからではないでしょうか。実際、全面的な解除には今から少なくとも1年超は要するという見方が多いようです。
また、仮に全面解除が前倒しになったとしても、多くの国が大きな経済的・財政的ダメージを受けた中、訪日客数がコロナ前の水準まですぐに戻るとは考え難いものがあります。