「高級トースター」で一世を風靡したバルミューダ株式会社が、またしても世間を騒がせています。

2026年3月18日に発表された新製品「The Clock」は、なんと「針がない」置時計。価格も約6万円と強気です。SNSでは驚きと困惑の声が広がっています。

1. 針がない。光と音で「時を感じる」時計

「The Clock」の大きな特徴は、アナログ時計に必ずある「針」がないことです。

1/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

時刻は数字とメモリのライトで表示する方式を採用しており、同社は「Light Hour」と呼称しています。毎正時の時報は、チャイムの音と共に懐かしい振り子の動きを光のモーションで表現するなど、「時を感じられる」工夫をしています。

光と音の演出は機能面にもみられます。以下、代表的な機能の詳細です。

1.1 Relax Time

2/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

自然のサウンドと光のモーションで落ち着きのある空間を実現

1.2 Alarm

3/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

設定時刻の3分前から環境音が静かにスタートして気持ちのよい目覚めをサポート

1.3 Timer

4/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

周囲の雑音を覆い隠すノイズ音が集中を助ける

それぞれの機能はアプリで設定する仕様で、自分だけの時計をカスタマイズすることができます。

2. クラシックでありながらも現代的なデザイン

デザインにも多くのこだわりが詰まっています。

伝統的な懐中時計の形から着想を得ているため、クラシックな佇まいですが、7.5cmの小さなボディには、ムラのない均一な発光を実現した75個のLEDからなる照明構造を含め、200以上に及ぶパーツが精緻に組み合わせ、現代的な洗練されたデザインに仕上がっています。

音量調整やアラーム、時刻設定などを行うクラウンはシンプルながらどっしりとした存在感をもたせています。

5/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

アルミニウムのブロックから削り出されたボディは、テクスチャーブラストやアノダイズ処理などを行うことで、美しい光沢と上質な質感、深みのある色調を実現しています。

6/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

スピーカーには、ウーファーとツイーターをそれぞれに装備するステレオスピーカーを採用。クリアな高音と豊かな低音を両立し、コンパクトなボディながら迫力のあるサウンドを再生することが可能です。

7/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

2.1 本体スペック

  • 製品名:The Clock(ザ・クロック)
  • カラー:シルバー(型番: DSC01-SV、JAN:4560330113994)
  • 本体寸法:幅75mm×奥行き36.5mm×高さ105mm (リング含む)
  • 本体重量:約259g
  • 充電時間:約2.5時間
  • 連続使用時間:約24時間(コードレスで使用した場合)
  • USBケーブル:USB Type-C to USB Type-C、ACアダプター:USB Type-C(出力3A以上推奨)
  • 内蔵バッテリー:リチウムイオン電池
  • Wi-Fi:IEEE802.11 b/g/n ※2.4GHz帯のみ対応 
  • Bluetooth:バージョン5.0 
  • パッケージ内容:本体、クイックスタートガイド、収納袋
  • その他:生活防水、照度センサー(自動調光)

3. 「時計の役割とは…」「価格設定が強気すぎる」の声

今回の発表を受け、SNSでは驚きと困惑の声が広がっています。

注目を集めているのは、針がないという仕様と強気の価格設定です。

  • 「時計の役割とは…見慣れた針がないのは、実用性としてどうなんだろう」
  • 「価格設定が強気すぎる。デザインに6万円は払えない」
  • 「デザインは良いけど、また『こだわりの押し付け』になっていないか?」

などのコメントが見受けられました。

一方で「バルミューダらしい!」と評価する声も。

  • 「らしい商品。アルミ削り出しの質感がたまらない」
  • 「機能を削ぎ落として情緒を残す、本来のバルミューダらしい狂気が戻ってきた感じがする」

といった反応もありました。

4. スマホ事業失敗からの復活を図るバルミューダ

バルミューダは03年に寺尾玄氏が一人で立ち上げ、倒産の危機もありながら、3万円を超える二重構造の羽根を持つ扇風機やデザイン性の高さに振り切った加湿器などで、唯一無二のものづくり企業として、地位を確立しました。

同社の知名度を一気に上げたのは、「BALMUDA The Toaster」。品切れが続出する大ヒット商品となり、高級トースターブームの火付け役となりました。

8/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

その後も調理家電を中心に「憧れの家電」を多く展開していた同社ですが、21年に参入したスマートフォン事業が経営に大きな打撃を与えます。

独自性を強く打ち出した「BALMUDA Phone」でしたが、尖りすぎたデザインや割高感から販売が伸びず、円安によるコスト増も重なり、わずか2年で撤退することになります。

9/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

倒産危機から時代の寵児へ、そしてまた危機的状況に陥っている同社ですが、現在は高級・情緒路線に振り切り、ブランドの再定義を行っています。

その象徴といえるのが、25年に発表したApple元CDOのジョニー・アイブと共同開発した限定1000台・価格55万円という規格外のランタン「Sailing Lantern」。実用性よりも所有する喜びや体験価値を押し出しています。

10/10

出所:バルミューダ株式会社

出所:バルミューダ株式会社

今回の約6万円の置時計も、この新戦略上にある商品といえるでしょう。

万人受けを捨て、富裕層や熱狂的ファンに刺さる価値を追求する同社の思い切った戦略は吉と出るか、凶と出るか。

BALMUDA The Toasterで美味しいトーストを満喫していたライト層からすると、蚊帳の外に置かれて寂しい気もしますが、同社しか生み出せない唯一無二のプロダクトの動向に注目したいところです。

参考資料

大蔵 大輔