物価上昇が続くなか、6月15日支給分から改定される公的年金や給付制度に注目が集まっています。

なかでも「年金生活者支援給付金」は、一定所得以下の年金受給者に対して年金へ上乗せ支給される恒久的な支援制度です。

ただし、この制度は自動で受け取れるとは限らず、対象になっていても請求しなければ“ゼロ円”のままになるケースがあります。

特に遺族年金生活者支援給付金は、所得条件や扶養する子どもの人数によって支給内容が変わるため、仕組みを理解しておくことが重要です。

今回は、2026年度に改定される年金生活者支援給付金の最新情報をもとに、遺族年金生活者支援給付金の給付額や対象条件、請求方法、全国の支給状況などをわかりやすく整理します。

1. 「年金生活者支援給付金」の対象とは?老齢・障害・遺族基礎年金の受給者を支援

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年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金は、年金に上乗せして支給される給付金で、以下の3種類があります。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

「老齢・障害・遺族」、それぞれの基礎年金を受給中の人が、公的年金を含めても所得が一定基準以下となる場合に、2カ月に一度、受け取ることができるものです。

2. 遺族年金生活者支援給付金、「給付額5620円」受給要件は《前年の所得》に注意

遺族基礎年金を受給されている方へ2/5

遺族基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

遺族年金生活者支援給付金の支給要件は以下の通りです。

  • 遺族基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)

※障害年金、遺族年金等の非課税収入は除く。また、所得とは、収入から経費(給与所得控除等)を差し引いた後の金額です。

2.1 遺族年金生活者支援給付金の給付額

  • 月額5620円

なお、子が2人以上受給対象となる場合は、5620円を人数で均等に分けた額をそれぞれに支給します。

3. 遺族年金生活者支援給付金、「子どもが3人」の場合、どうやって分ける?

3人の子が遺族基礎年金を受給している場合の1人あたりの額は、5620円を3で除した金額となり、月額1873円です。

なお、計算の結果、50銭未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときはこれを1円に切り上げます。また、実際の支給額は法令等に基づき変更される場合があります。

4. 遺族年金生活者支援給付金、平均給付額5000円台「全国7万件以上」

遺族年金生活者支援給付金(令和7年3月)4/5

遺族年金生活者支援給付金(令和7年3月)

出所:厚生労働省「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

令和7年3月時点において、遺族年金生活者支援給付金の受給件数は全国で7万7707件となっています。

<年代区分>

  • 20歳未満:5687件
  • 20〜29歳:529件
  • 30〜39歳:7881件
  • 40〜49歳:3万4072件
  • 50〜59歳:2万7828件
  • 60歳以上:1710件

受給者は40〜49歳および50〜59歳の中高年層に多く、全体の大半を占めています。これは、遺族基礎年金を受給する配偶者の年齢層が子の養育期間と重なりやすいことが背景にあると考えられます。一方で、20歳未満は子自身が受給者となるケースであり、60歳以上の件数は比較的少ない傾向にあります。

いずれの世代においても、遺族年金に上乗せして支給される本給付金は、遺族の生活を支える一助として家計面で大きな意味を持つ制度といえるでしょう。

5. 平均寿命・平均余命から見る高齢期の生活設計

私たちは日頃「平均寿命」という言葉を何気なく使っていますが、これは0歳の平均余命を指します。

厚生労働省が2025年7月25日に公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年でした。

前年と比較すると、男性は横ばい(▲0.00年)、女性はわずかに下回りました(▲0.01年)。また、平均寿命の男女差は6.03年で、前年より▲0.01年とわずかながら縮まっています。

過去の推移も見てみましょう。

  • 昭和22年:男50.06 女53.96 男女差3.90
  • 昭和25-27年: 男59.57 女62.97 男女差3.40
  • 昭和30年: 男63.60 女67.75 男女差4.15
  • 昭和35年: 男65.32 女70.19 男女差4.87
  • 昭和40年: 男67.74 女72.92 男女差5.18
  • 昭和45年: 男69.31 女74.66 男女差5.35
  • 昭和50年: 男71.73 女76.89 男女差5.16
  • 昭和55年: 男73.35 女78.76 男女差5.41
  • 昭和60年: 男74.78 女80.48 男女差5.70
  • 平成2年: 男75.92 女81.90 男女差5.98
  • 平成7年: 男76.38 女82.85 男女差6.47
  • 平成12年 :男77.72 女84.60 男女差6.88
  • 平成17年:男78.56 女85.52 男女差6.96
  • 平成22年:男79.55 女86.30 男女差6.75
  • 平成27年 男80.75 女86.99 男女差6.24
  • 令和2年 男81.56 女87.71 男女差6.15
  • 令和3年 男81.47 女87.57 男女差6.10
  • 令和4年 男81.05 女87.09 男女差6.03
  • 令和5年 男81.09 女87.14 男女差6.05
  • 令和6年 男81.09 女87.13 男女差6.03

長期的なデータを見ると、男女ともに平均寿命が大きく延びており、「人生100年時代」が現実味を帯びてきたことを実感することができます。

長くなった老後を豊かに過ごすためには、現役時代からの計画的な貯蓄や資産形成、さらには公的年金制度への理解が大切となってくるでしょう。

6. まとめ|年金生活者支援給付金は“申請して初めて受け取れる”制度。対象条件の確認を

6月支給分から増額改定される「年金生活者支援給付金」は、一定以下の所得で暮らす年金受給者にとって重要な生活支援制度です。

特に遺族年金生活者支援給付金は、月額5000円超が継続的に年金へ上乗せされるため、家計への影響も小さくありません。

一方で、対象者であっても請求手続きをしなければ受給できない点には注意が必要です。

日本年金機構から届く「はがき型請求書」や案内書類を見落とさず、早めに内容を確認しておきましょう。

平均寿命の延伸や物価上昇が続くなか、年金制度や給付制度を正しく理解し、自分や家族が利用できる支援を把握しておくことが、今後の安心につながります。

参考資料

筒井 亮鳳