次回の年金支給日8月14日まで、残り1ヶ月を切りました。2026年度の年金は、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金が2.0%の上昇となっています。
厚生年金は会社員や公務員などの国民年金第2号被保険者が受給できる年金です。受給額は厚生年金保険への加入期間や現役時代の給与・賞与などによって異なります。平均年収600万円で40年間働いた場合、老後の年金はいくらになるのでしょうか。
この記事では、平均年収600万円・勤続40年の人の年金額を解説します。
夫婦の老後生活費、親の介護も考慮した、老後に向けた準備の仕方も確かめていきましょう。
1. この記事の3つのポイント
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平均年収600万円・勤続40年の年金月額は約18万円(基礎年金約7万円+厚生年金約11万円) -
夫婦の年金月額が約25万円でも、消費支出は約30万円で毎月約4万6000円の赤字に -
親の介護で厚生年金への加入期間が短くなれば、受給額はさらに減る可能性も
2. 【厚生労働省】平均年収約600万円のモデル年金
まずは、厚生労働省が公表しているモデル年金額から、平均年収が600万円に近い人の年金受給額を見てみましょう。
今回該当するのは、厚生労働省が公表している「厚生年金期間中心の男性」のモデルです。年金額などの詳細は以下のとおりです。
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 厚生年金加入期間中の平均収入:月50万9000円
- 2026年度の年金月額:17万6793円
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
平均収入が50万9000円となっているため、年収に換算すると約611万円です。そして、厚生年金保険への加入期間は約40年であり「平均年収600万円・勤続40年」に近いモデルといえます。
年金月額は約18万円で、内訳は基礎年金が約7万円、厚生年金が約11万円です。年金額は物価や賃金の変動によって変わるため、将来年金を受け取る人が、上記と同様の金額を受け取れるとは限りません。あくまでも参考として「平均年収600万円・勤続40年」の人は月額約18万円の年金を受け取れると押さえておきましょう。
この年金額は、どのような仕組みで計算しているのでしょうか。次章で独自に試算します。
3. 【独自試算】平均年収600万円・勤続40年の年金額はいくら?
では、平均年収600万円・勤続40年の人の年金額を、独自に計算してみましょう。今回の試算条件は、以下のとおりです。
- 平均年収:600万円
- 賞与を含む平均標準報酬額:月50万円
- 厚生年金加入期間:40年(480ヶ月)
- 加入期間はすべて2003年4月以降
- 国民年金保険料は40年間納付済
- 基礎年金額については2026年度の満額を使用
- 加給年金や企業年金などは含めない
2003年4月以降の老齢厚生年金の報酬比例部分は、以下の式で計算します。
- 平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金保険の加入月数
年収600万円の場合、老齢厚生年金の金額は以下のとおりです。
50万円×5.481/1000×480ヶ月
=年額131万5440円
=月額10万9620円
ここに2026年度の老齢基礎年金満額7万608円を加えると「10万9620円+7万608円」で、合計額は月18万228円となります。
老齢厚生年金:月10万9620円
老齢基礎年金:月7万608円
合計:月18万228円
前述の厚生労働省のモデル年金額も踏まえると、平均年収600万円・勤続40年の場合は、月18万円前後の年金を受け取れる可能性があるといえるでしょう。
次章では、年金月額約18万円での老後支出について解説します。
4. 年金月額約18万円でも老後は赤字?
年金を月額18万円受け取れるとしても、世帯全体で考えると生活費は不足する可能性があります。たとえば、夫が前述の月額18万228円、妻が老齢基礎年金の満額(2026年)である月額7万608円を受け取るとしましょう。
この場合の夫婦の年金月額は、月額25万836円です。一方、総務省の「家計調査」によると、2025年における65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は以下のようになっています。
- 消費支出:26万3979円
- 非消費支出:3万2850円
合計支出は月額29万6829円です。年金収入が月額25万836円ですから、月あたり4万5993円が不足します。同じような不足額が20年続くとなれば、赤字額の合計は約1104万円にものぼります。年金月額約18万円でも、家計は赤字になる可能性があるのです。
年金額が少なく、生活が苦しい場合に上乗せで受け取れる公的な給付金についてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
年金に上乗せでもらえる「年金生活者支援給付金」とは?対象者・給付額・申請方法を解説 緑色・薄緑色・薄橙色の封筒が届いたら確認
もし妻も厚生年金保険に加入しており、夫婦2人とも厚生年金を受け取れるなら、収入が上記の支出額を上回る可能性はあります。一方、収入が増えても住居費や医療費などによっては、支出が増えて赤字になることも考えられるでしょう。
次章では、もうひとつのリスクである「親の介護」について解説します。
5. 年金額に影響する「親の介護」リスク
老後資金を考える際は、自分たちの生活費だけでなく、親の介護による働き方の変化も見落とせません。
厚生労働省の「2025年 国民生活基礎調査」によれば、要介護者等の主な介護者が同居している割合は46.1%でした。続柄では配偶者が22.5%、子が18.2%となっています。
同調査によると、要介護者等と同居する主な介護者がともに60歳以上の割合は79.0%、ともに65歳以上は61.9%となっています。介護時間についても、要介護3以上では「ほとんど終日」の人が最も多い状況です。
もし親の介護を理由に退職すると、給与収入がなくなるうえに、厚生年金への加入期間も短くなる可能性があります。
平均標準報酬額月50万円の人が介護のため離職し、厚生年金へ加入しない期間が生じた場合の影響を簡単に試算してみましょう。もし退職せずに40年勤め上げれば、前述のように月額10万9620円の厚生年金を受け取れます。しかし、加入しない期間が増えると、以下のように受け取れる年金が少しずつ減っていきます。
- 1年間加入しない
50万円×5.481/1000×468ヶ月÷12=月額約10万6880円
約2741円減少
- 3年間加入しない
50万円×5.481/1000×444ヶ月÷12=月額約10万1399円
約8222円減少
- 5年間加入しない
50万円×5.481/1000×420ヶ月÷12=月額約9万5918円
約1万3703円減少
月あたりの差は数千円〜1万円程度でも、20年受給し続けるとなれば、40年間勤め上げた人と比較すると受給額に差がつきます。
介護が始まるとなると、老後への備えを用意するにはこれまで以上の工夫が求められます。「将来資金のことまで手が回らない」といった状況に陥らないためにも、早いうちから備えについて考えておく必要があるでしょう。





