生活福祉資金貸付制度は借りる制度なので、いずれ返すことが前提になります。では返せなくなったらどうなるのか。厚生労働省のページには、その場合の手立てが2つ用意されています。
償還を免除する仕組みと、償還開始の時期を遅らせる償還猶予です。ただしこれは新型コロナウイルス感染症の特例貸付を利用した人への案内で、免除は自動ではなく申請が必要、しかも自分から先に動くのではなく社会福祉協議会からの案内を待つ順序になっています。
この記事では、償還免除の要件と手続きの順序、償還猶予、そして本則の貸付で償還可能性が考慮されるという点を順に確認します。
1. 【生活福祉資金】特例貸付の償還免除は申請が必要。ただし自分から動くのではなく社会福祉協議会からの案内を待つ順序になっている
まず、免除がどういう位置づけの制度なのかを確かめます。
1.1 この免除と猶予は特例貸付を利用した人への案内
読む前に対象を押さえておく必要があります。
厚生労働省のページは2つの塊に分かれています。1つは緊急小口資金等の特例貸付を利用した人に向けた塊で、通知と問答集、償還免除、償還猶予の案内がここに置かれています。
もう1つが本則の取扱いで、こちらには実施主体や貸付対象、貸付資金の種類、貸付条件等一覧が並び、新型コロナウイルス感染症の特例貸付の内容ではないという注記が付いています。以下で見る償還免除と償還猶予は、前者の特例貸付の側の案内です。
特例貸付の申請受付は令和4年9月末日で終了しています。すでに借りている人が返す局面に入っているという段階の話になります。
1.2 償還免除は申請手続きが必要
免除は自動的には効きません。
厚生労働省は、住民税非課税による償還免除となるには申請手続きが必要となると明記しています。要件に当てはまっていれば黙っていても免除されるという制度ではありません。
貸付制度なので、返さなくてよくなるかどうかは別に判断される形です。要件と手続きの両方がそろって初めて免除になります。
1.3 案内は償還開始前に社会福祉協議会から直接届く
動く順序が指定されています。
手続きについては、償還開始前に社会福祉協議会から借受人へ直接案内されるため、それまで待つよう求められています。厚生労働省は、案内があるまでお待ちいただくようお願いしますと書いています。
自分から先に申請しに行くのではありません。案内が来た時点で手続きに入るという順序です。
この点を知らないと、要件に当てはまっていそうなのに窓口から何も言われないという状況を、対象外だと受け取ってしまうことになります。
1.4 案内が届く区分は4つに分かれている
案内は一度にまとめて来るわけではありません。
厚生労働省は、緊急小口資金、総合支援資金の初回、総合支援資金の延長、総合支援資金の再貸付のそれぞれについて、償還開始前に案内すると書いています。
同じ人が複数の資金を借りている場合、案内はそれぞれのタイミングで届きます。免除の対象となる資金ごとに償還開始の時期が違うためです。
1回目の案内が来たからといって、他の資金の分も一緒に処理されるとは限らないということになります。
1.5 住民税非課税以外の事情でも免除となる場合がある
免除の入口は1つではありません。
厚生労働省は、住民税非課税以外の事情でも免除となる場合があるとしています。挙げられているのは、生活保護を受給中、返済中における借受人の死亡や失踪宣告、精神障害者保健福祉手帳の1級または身体障害者手帳の1級もしくは2級の交付を受けた、自己破産等にあてはまる場合です。
住民税が非課税かどうかだけで判断される制度ではないということです。手帳の等級や自己破産といった、収入とは別の事情も並べられています。
1.6 これらの事情に当たる場合は自分から連絡してよい
手続きの入り方が住民税非課税の場合と違います。
厚生労働省は、これらに当てはまる方は申請いただくか、お住まいの地域の社会福祉協議会にご連絡くださいと書いています。案内を待つよう求めているのは住民税非課税による免除の手続きの側です。
つまり、待つ場合と自分から動く場合の2通りがあることになります。どちらに当たるかで、次の一手が変わります。
1.7 転居したら貸付申請をした社会福祉協議会に連絡する
案内が届かなくなる事情にも触れられています。
厚生労働省は、転居等により貸付申請時と住所が異なる場合は、貸付申請の手続きをした社会福祉協議会まで連絡するよう求めています。連絡先は現在の住所地ではなく、申請したときの社会福祉協議会です。
案内を待つ仕組みなので、届かなければ手続きに入れません。引っ越しの届出が、免除にたどり着けるかどうかに直結する形になっています。
1.8 償還にお困りの場合は償還猶予の制度がある
免除に当たらない場合の手立ても用意されています。
厚生労働省は、償還にお困りの方には、償還開始時期を遅らせることができる償還猶予の制度等があるとしています。まずはお住まいの地域の社会福祉協議会に相談することになります。
免除は返さなくてよくなる仕組みですが、猶予は返す時期を後ろにずらす仕組みです。返済が難しい状態でも、免除の要件に当たらない場合の受け皿として置かれています。
1.9 免除と猶予の案内は多言語でも用意されている
案内の出し方にも幅があります。
厚生労働省のページには、償還免除のご案内と、返済にお困りの方へという償還猶予等の相談の案内が置かれています。それぞれ英語、韓国語、簡体字、ベトナム語、ポルトガル語、スペイン語、ネパール語、ミャンマー語、ベンガル語の各版も用意されています。
日本語の案内だけを前提にした制度運用ではないということです。借受人の側の事情に合わせて、同じ内容が複数の言語で出されています。
1.10 本則の貸付では償還可能性の有無が考慮される
ここからは本則の取扱いの側です。
厚生労働省は、貸付の決定に当たっては、貸付条件に加え、償還可能性の有無が考慮されることとなると注記しています。条件を満たせば必ず借りられるという制度ではありません。
免除や猶予が用意されている一方で、入口では返せる見込みがあるかを含めて判断される形です。給付とは審査の考え方が違う部分です。
本則の実施主体は都道府県社会福祉協議会です。ただしこの事業に関する問い合わせはお住まいの地域の市区町村社会福祉協議会が受け付けており、連絡先が分からないときは都道府県社会福祉協議会に問い合わせます。厚生労働省のページの冒頭には、生活福祉資金貸付制度に関するコールセンターとして0120-46-1999も示されています。受付時間は平日のみ9時から17時です。
本則の取扱いは平成27年4月より見直しが行われた後のものです。貸付条件の詳細や貸付上限額は厚生労働省のページの貸付条件等一覧に示されているので、古い資料の条件と混ざらないよう最新の一覧で確かめる必要があります。
ただ、この制度で用意されているのは、返す時期をずらすか、条件に当たれば返さなくてよくするかのどちらかです。そもそも請求される額そのものが下がる仕組みは、別のところに置かれています。
なお、返さなくてよい形で費用負担を軽くする制度については、LIMOの記事「老人ホーム費用が払えないときはどうなる?「社会福祉法人等利用者負担軽減制度」で利用料が4分の1に?自治体公式資料から編集部が整理」から一部を引用・参照しています。
