75歳を迎え、「後期高齢者医療制度」に加入するタイミングで、医療費の自己負担割合(1割・2割・3割)は意識していても、毎月支払う保険料額まで正確に把握している人は、意外と少ないのではないでしょうか。
保険料は住んでいる都道府県によっても水準が異なり、そこに2026年度からは新たな負担も加わる予定です。
本記事では、後期高齢者医療制度の仕組みをおさらいしたうえで、2026・2027年度の保険料額を都道府県別に確認し、あわせて新たに始まる「子ども・子育て支援金」についても見ていきましょう。
1. この記事の3つのポイント
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2026・27年度の保険料は都道府県ごとの地域差が大きい。 -
2026年度から子ども・子育て支援金の負担が新たに上乗せ。 -
老後の資金計画は年金の額面でなく手取り額の把握が不可欠。
2. 後期高齢者医療制度とは?75歳以上の医療費負担の仕組みをおさらい
まずは、後期高齢者医療制度がどのような仕組みで運営されているのか、基本的な部分から確認していきましょう。
2.1 これまでの健康保険から移行する仕組み
日本では「国民皆保険制度」のもと、原則としてすべての人が公的医療保険に加入します。加入する医療保険は、職業や年齢によって異なります。
- 会社員:協会けんぽ、健康保険組合
- 公務員や教職員:共済組合
- 自営業者や退職者:国民健康保険
そして、75歳になると、それまで加入していた健康保険から「後期高齢者医療制度」へ移行するのが原則です。
また、65歳以上75歳未満の人でも、一定の障害認定を受けている場合は、本人の申請により後期高齢者医療制度に加入できる場合があります。
後期高齢者医療制度は、各都道府県に設置された「後期高齢者医療広域連合」が運営しています。全国すべての市区町村がこの制度に参加しており、保険料の徴収や窓口業務などは市区町村が担います。
2.2 自己負担割合は所得に応じて1割・2割・3割
続いて、医療機関を受診した際の自己負担割合についても、簡単におさらいしておきましょう。
後期高齢者医療制度では、医療機関を受診した際の自己負担割合が、所得に応じて1割・2割・3割に分かれます。
後期高齢者医療制度について

出所:厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」
- 一般所得者等(1割):課税所得が28万円未満の人、または課税所得が28万円以上でも一定の収入要件に該当しない人
- 一定以上所得者(2割):課税所得が28万円以上145万円未満で、「年金収入+その他の合計所得金額」が単身世帯で200万円以上、複数世帯で320万円以上の人
- 現役並み所得者(3割):課税所得が145万円以上の人
ただし、3割負担に該当する場合でも、収入が一定基準に満たないときは、申請等により1割または2割負担となるケースがあります。
この自己負担割合は、あくまで医療機関で支払う窓口負担の話です。次の章からは、これとは別に毎月支払うことになる「保険料」について、具体的な金額を確認していきましょう。
3. 【2026・2027年度】後期高齢者医療保険料はいくら?全国平均を確認
後期高齢者医療制度の保険料率は、原則として2年ごとに見直されます。前回は2024年度に改定されているため、2026年度・2027年度は新しい保険料率が適用されます。
なお、2026年度からは、後期高齢者医療制度の保険料についても「医療分」に加えて「子ども・子育て支援金分」が上乗せされます。
この支援金については後ほど詳しく確認するとして、まずは医療分の保険料を見てみましょう。
- 被保険者均等割額の年額:5万6083円
- 被保険者均等割額の月額:4673円
- 所得割率:10.17%
- 平均保険料額の年額:9万5875円
- 平均保険料額の月額:7989円
後期高齢者医療制度の保険料は、被保険者が原則として等しく負担する「均等割」と、所得に応じて負担する「所得割」で構成されています。
2026年度・2027年度の医療分について、全国平均の均等割額は年額5万6083円です。月額にすると4673円となります。また、所得に応じて計算される所得割率は10.17%です。
医療分の平均保険料額は年額9万5875円、月額では7989円となっています。ただし、この保険料額は全国平均であり、実際の保険料は住んでいる都道府県や本人の所得によって異なります。
では、都道府県ごとの差はどの程度あるのでしょうか。次の章で詳しく見ていきましょう。
4. 【都道府県別ランキング】後期高齢者医療保険料が最も高いのは東京都
ここからは、厚生労働省の資料をもとに、2026・2027年度の都道府県別の平均保険料額を確認していきます。
4.1 2026・2027年度の平均保険料額(医療分)
- 東京都 1万352円
- 神奈川県 9842円
- 愛知県 9045円
- 大阪府 9010円
- 沖縄県 8731円
- 奈良県 8622円
- 福岡県 8330円
- 兵庫県 8301円
- 京都府 8280円
- 千葉県 8237円
- 埼玉県 8189円
- 佐賀県 8159円
- 石川県 8065円
- 滋賀県 8051円
- 岡山県 7891円
- 福井県 7840円
- 山口県 7836円
- 広島県 7831円
- 静岡県 7415円
- 香川県 7388円
- 岐阜県 7317円
- 富山県 7296円
- 北海道 7295円
- 大分県 7283円
- 三重県 7263円
- 鹿児島県 7174円
- 茨城県 7128円
- 熊本県 7088円
- 山梨県 7070円
- 宮城県 6933円
- 群馬県 6877円
- 徳島県 6829円
- 和歌山県 6771円
- 高知県 6747円
- 長野県 6745円
- 鳥取県 6568円
- 島根県 6561円
- 栃木県 6476円
- 長崎県 6192円
- 愛媛県 6186円
- 山形県 6014円
- 宮崎県 5875円
- 新潟県 5852円
- 秋田県 5847円
- 福島県 5744円
- 岩手県 5496円
- 青森県 4990円
- 全国 7989円
平均保険料額が最も高いのは東京都の1万352円です。一方、最も低いのは青森県の4990円となっており、両者の差は月額5362円にのぼります。
こうした地域差が生じる主な要因としては、都市部ほど医療機関へのアクセスが良く医療費の総額が高くなりやすいこと、また高所得の被保険者が多く所得割の負担額が上乗せされやすいことなどが考えられます。
同じ後期高齢者医療制度でも、保険料の水準は都道府県によって大きく異なる点は押さえておきたいポイントです。
4.2 2026・2027年度の保険料額(年金収入84万円の場合・医療分)
先ほどのランキングは、あくまで平均保険料額です。実際には、所得が低いほど保険料も低くなる仕組みのため、基礎年金のみを受け取っている場合の保険料額もあわせて確認しておきましょう。
- 北海道 1392円
- 青森県 1175円
- 岩手県 1133円
- 宮城県 1216円
- 秋田県 1300円
- 山形県 1225円
- 福島県 1143円
- 茨城県 1155円
- 栃木県 1146円
- 群馬県 1267円
- 埼玉県 1217円
- 千葉県 1183円
- 東京都 1242円
- 神奈川県 1225円
- 新潟県 1148円
- 富山県 1302円
- 石川県 1337円
- 福井県 1263円
- 山梨県 1228円
- 長野県 1139円
- 岐阜県 1292円
- 静岡県 1192円
- 愛知県 1308円
- 三重県 1280円
- 滋賀県 1292円
- 京都府 1390円
- 大阪府 1515円
- 兵庫県 1363円
- 奈良県 1325円
- 和歌山県 1371円
- 鳥取県 1217円
- 島根県 1334円
- 岡山県 1400円
- 広島県 1285円
- 山口県 1482円
- 徳島県 1423円
- 香川県 1353円
- 愛媛県 1298円
- 高知県 1409円
- 福岡県 1548円
- 佐賀県 1603円
- 長崎県 1308円
- 熊本県 1470円
- 大分県 1492円
- 宮崎県 1300円
- 鹿児島県 1625円
- 沖縄県 1423円
- 全国 1309円
年金収入84万円の場合、最も保険料が高いのは鹿児島県の1625円です。最も低いのは岩手県の1133円で、その差は492円となっています。
平均保険料額のランキングと比べると、年金収入84万円のケースでは都道府県ごとの差が小さくなっていることがわかります。
保険料のうち所得に連動する「所得割」部分が小さくなり、地域による均等割の差が相対的に大きく影響しているためと考えられます。
ただし、実際の保険料は本人の所得や世帯状況、各広域連合の保険料率によって変わります。自分の負担額は、自治体や後期高齢者医療広域連合から届く通知で確認しておきましょう。
5. 2026年度からスタート「子ども・子育て支援金」もあわせて確認
2026年度からは、新たに「子ども・子育て支援金制度」が始まりました。ここまで確認してきた保険料に加えて、どのような負担が上乗せされるのか確認していきましょう。
5.1 後期高齢者も対象になる仕組み
子ども・子育て支援金制度は、少子化対策の財源を確保するため、医療保険の仕組みを活用して集める新たな負担金です。
後期高齢者医療制度の加入者も対象で、前章で確認した医療分の保険料に加えて、子ども・子育て支援金分が徴収されています。
つまり、2026年度以降の後期高齢者医療制度の負担は、「医療分」と「子ども・子育て支援金分」を合わせて考える必要があります。
支援金を負担するのは、国内の公的医療保険に加入する人です。現役世代だけでなく、高齢者も一定の負担を担う仕組みとなっています。
【2026年度の支援金額の推計(平均月額)】
- 健保組合:被保険者一人当たり 約550円
- 国民健康保険:一世帯当たり 約300円
- 後期高齢者医療制度:被保険者一人当たり 約200円
後期高齢者の場合、月額約200円が目安とされていますが、実際には年収によって負担額に差が生じます。
5.2 年収別の負担額イメージ
こども家庭庁によると、後期高齢者1人あたり(単身世帯・年金収入のみ)の負担額は、以下のようになっています。
- 年収80万円の場合:月額 50円
- 年収100万円の場合:月額 50円
- 年収125万円の場合:月額 50円
- 年収150万円の場合:月額 50円
- 年収175万円の場合:月額 100円
- 年収200万円の場合:月額 200円
年収80万円から150万円までは月額50円、年収175万円では月額100円、年収200万円では月額200円が目安です。
月額だけを見ると小さな負担に見えるかもしれませんが、医療分の保険料に上乗せされるため、年間では負担額が積み上がります。
たとえば、年収200万円の場合、月額200円でも年間では2400円の追加負担となります。
※実際の保険料額は、加入する後期高齢者医療広域連合や本人の所得によって異なります。
6. 【FPが解説】保険料額を見るときに押さえておきたい視点
年金額そのものは、ねんきん定期便などである程度把握できても、そこから医療保険料や介護保険料、税金などが差し引かれると、実際に使えるお金は想定より少なくなる点には注意が必要です。
特に、先述したように保険料には地域差があり、子ども・子育て支援金のような新しい負担も加わっていくため、「年金の額面」だけで老後の資金計画を立てると、実際の手取りとのズレが生じやすくなります。
後期高齢者医療制度の保険料を確認する際には、次の3つのポイントを意識しておくとよいでしょう。
①「窓口負担割合」と「保険料」は別物として、両方を確認する
医療機関での自己負担割合(1割・2割・3割)と、毎月・毎年支払う保険料は、まったく別の仕組みです。どちらか一方だけを把握していても、実際の医療関連の負担額は見えてきません。
②自分が住む都道府県の水準を確認しておく
平均保険料額には都道府県によって月額5000円以上の差があります。「全国平均はこのくらい」という情報だけでなく、実際に自分が住んでいる地域の水準を、通知書や自治体の案内で確認しておくことをおすすめします。
③小さく見える負担も、年単位・長期的な視点で捉える
子ども・子育て支援金のように、月額では数百円程度に見える負担でも、年間、さらには老後の期間全体で考えると、決して無視できない金額になります。
高齢期の家計を考えるうえでは、年金収入そのものだけでなく、そこから何が、どのくらい差し引かれるのかを正確に把握しておきましょう。
7. まとめ
後期高齢者医療制度では、医療機関での自己負担割合(1割・2割・3割)に注目が集まりがちですが、実際の家計への影響という点では、毎月・毎年支払う「保険料」も見過ごせません。
2026・2027年度の医療分の平均保険料額は、全国平均で月額7989円です。ただし、都道府県によって差があり、最も高い東京都(1万352円)と最も低い青森県(4990円)では、月額5362円もの開きがあります。
基礎年金のみを受け取っている場合(年金収入84万円)でも、都道府県によって月額約500円の差が生じています。
さらに、2026年度からは新たに「子ども・子育て支援金」の徴収が始まっています。
後期高齢者の場合、平均月額約200円が目安とされていますが、年収によって負担額は変わり、年間で見れば決して小さくない金額になります。
老後の家計を考えるうえでは、年金の額面だけでなく、そこから差し引かれる保険料や支援金まで含めて、実際に使えるお金がいくらになるのかを把握しておくことが大切です。
まずは、自分が住んでいる都道府県の保険料水準や、通知書に記載された負担額を確認してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「後期高齢者医療制度の仕組み」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
加藤 聖人



