4. スマホ事業失敗からの復活を図るバルミューダ

バルミューダは03年に寺尾玄氏が一人で立ち上げ、倒産の危機もありながら、3万円を超える二重構造の羽根を持つ扇風機やデザイン性の高さに振り切った加湿器などで、唯一無二のものづくり企業として、地位を確立しました。

同社の知名度を一気に上げたのは、「BALMUDA The Toaster」。品切れが続出する大ヒット商品となり、高級トースターブームの火付け役となりました。

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出所:バルミューダ株式会社

その後も調理家電を中心に「憧れの家電」を多く展開していた同社ですが、21年に参入したスマートフォン事業が経営に大きな打撃を与えます。

独自性を強く打ち出した「BALMUDA Phone」でしたが、尖りすぎたデザインや割高感から販売が伸びず、円安によるコスト増も重なり、わずか2年で撤退することになります。

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出所:バルミューダ株式会社

倒産危機から時代の寵児へ、そしてまた危機的状況に陥っている同社ですが、現在は高級・情緒路線に振り切り、ブランドの再定義を行っています。

その象徴といえるのが、25年に発表したApple元CDOのジョニー・アイブと共同開発した限定1000台・価格55万円という規格外のランタン「Sailing Lantern」。実用性よりも所有する喜びや体験価値を押し出しています。

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出所:バルミューダ株式会社

今回の約6万円の置時計も、この新戦略上にある商品といえるでしょう。

万人受けを捨て、富裕層や熱狂的ファンに刺さる価値を追求する同社の思い切った戦略は吉と出るか、凶と出るか。

BALMUDA The Toasterで美味しいトーストを満喫していたライト層からすると、蚊帳の外に置かれて寂しい気もしますが、同社しか生み出せない唯一無二のプロダクトの動向に注目したいところです。

参考資料

大蔵 大輔