傷口が広がらないうちの廃業・閉店という選択肢も

では、苦境に立たされた飲食店はどうすればいいのでしょうか。

筆者は、経営者が向こう1年間を冷静に予測し、まだ余裕のあるうちに廃業・閉店を検討するべきと考えます。歯を食いしばって、石にかじりついてでも店を守ろうとする気持ちは理解できますが、傷口が広がらないうちに撤退するという選択肢もあるのです。次のチャンスが巡って来るかどうかは分かりませんが、“最終決戦”、“本土決戦”のような事態は避けるべきでしょう。

特に、インバウンド需要をあて込んで新規に開店したり、集客数を増やそうと大幅改装を実施したりした店は、回復の見込みは限りなくゼロに近いと考えます。

また、政府や地方自治体は、経営の行き詰まりが目に見えている飲食店に対する持続的な経営支援を再考するべきです。いや、ハッキリ言えば、過剰な支援は不要ではないでしょうか。

その分、たとえばですが、一人親家庭の子供や学費支払いに困窮する学生への支援に振り向けるのはどうでしょうか。今後、大幅増額が見込まれる地方交付金ではありますが、その使途に関しては明確なビジョンが求められると考えます。

葛西 裕一