飲食店の経営コストは上昇

売上が減少したままにもかかわらず、飲食店の経営コストは上昇しています。

まず、前述した“ソーシャルディスタンス”維持の費用です。これは、飛沫感染を防ぐために店内の至る所に防止シートを設置し、アルコール消毒液やマスク、手袋を十分に購入する必要があるためです。また、テイクアウト向けでは容器代や新たな広告チラシ代がかかります。さらに、店によっては相応の改装が求められるでしょう。

さらに、食材の値上がりも大きなコストアップ要因です。日頃、食品スーパー等へ行かれている方ならご理解いただけるでしょうが、コロナ禍による品切れでの値上がりが見られ、とりわけ輸入品の値上がりが顕著です。

売上が3~4割の回復では飲食店の経営は成り立たない

これらの要因を勘案すれば、ザックリ言って売上はコロナ禍以前のピーク時比で最大3~4割水準の回復に止まり、逆に、経営コストは1~2割アップと試算できます。客足が遠のくことを憂慮すれば、値上げによる吸収は極めて限定的に止まると見られます。

常識的に考えれば、これで飲食店の経営が成り立つはずがありません。かろうじてやっていけるのは、国内の固定客が多い家族経営(人件費負担がない)の店くらいでしょうか。

確かに、2~3年先を見据えれば、インバウンド需要の回復等で飲食店経営も再び軌道に乗るかもしれません。しかし、日銭稼ぎ勝負となった現在、重要なのは向こう1年間、とりわけ、政府からの家賃補助が終了する後半の6カ月です。