特に、最近は“事実婚”のような法律上の婚姻関係に束縛されない男女(夫婦)が増えています。しかしながら、これは民法上では婚姻関係とは認められないため、突然に相続が発生した場合、遺言がなければ一切の財産分与なしということが十分に考えられます。

15歳以上なら作成できる遺言書

遺言書は、その様式が厳格に定められていますが、代表的な「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」は、比較的簡単な手続きで作成できます。公正証書遺言の作成には相応の費用を要しますが、公証役場で原本が保管されるので安全・確実と言えます。

若年層の中には、“自分は遺言とは関係ない”と考えている人も少なくないと思われますが、民法では満15歳以上なら誰でも遺言書を作成できます。実際に15歳で遺言書を作成する人はごく稀だと思われますが、若い人たちが自身の財産の有無に関わらず、遺言を残すことは不自然ではないと考えます。

今回のコロナ感染騒動が続けば、今後は多くの人が「死」を身近なものと捉える可能性があります。いつ訪れるかわからない自らの最期に備えて、改めて遺言の重要性を考えてみたいものです。

葛西 裕一