遺言は法定相続より優先されるが、一定の制約はある

最大のポイントは、前出の民法で定められた「法定相続」よりも「遺言」が優先されることです。“遺言ファースト”といったところでしょうか。

ただし、一定の制約があります。たとえば、妻子を残して亡くなった夫が“財産は全て銀座のクラブのママに渡してくれ”という遺言を残していた場合、残った家族はたまったものではありません。

そのため、法定相続人(この場合なら妻子)には「遺留分」という最低限度の相続分が認められており、減殺請求することで確保することができます。

ただ、こうした極端な場合を除けば、原則、遺言が最優先されることになっています。

いわゆる“内縁関係”などは遺言書があるとないでは大違い

相続の遺産分割において、故人の遺言があるとないでは大違いのケースが少なくありません。確かに、遺言がない場合でも、民法の法定相続分に沿って分割することで遺産分割は成立します。

しかしながら、1)何らかの事情により、正式な婚姻関係にない配偶者がいる(いわゆる内縁関係)、2)同じく、嫡出子を認知していない等のように、正式な相続人以外に財産を与えたい場合、遺言は必須となります。