広義の意味においては、故人が自らの死後のために遺した言葉や文章を指すと言われますが、現在では民法上の制度に鑑みて「自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う、遺言者の意思表示」(出所:日本公証人連合会)とされています。

なお、ここから先は、「遺言=遺言書を残す」とします。

「相続」にはトラブルも少なくない

全ての人は、いつか必ず最期を迎えます。そして、ほとんどの場合、何らかの財産(注:負債を含む、以下同)を残します。そして、その財産は「相続」という手続きにより、法定相続人(妻子など)に受け継がれていきます。

その際、残した財産は民法で定められた「法定相続分」に沿って分割されるのが基本で、これを「遺産分割」と称しています。なお、相続を放棄することもできますが、ここでは詳細は省略します。

ところが、この遺産分割はなかなかスムーズには行かず、親族間でトラブルになることが珍しくありません。たとえば、“私は老後の世話をしたから多くもらえるはずだ”、“生前に自宅をもらえる約束をしていた”などと、相続人の主張が対立するケースです。

それがエスカレートすると、親族間で訴訟になったり、最悪の場合は殺人事件になったりします。何とも醜いものですが、血を分けた親族でも、お金に係るトラブルは後を絶ちません。しかし、これが現実なのです。故人が嘆き悲しんでいる姿が思い浮かんできます。