家庭内の“タスク”あれこれをお金に換算してみると…

はじめに、内閣府経済社会総合研究所が2019年に公表した「無償労働の貨幣評価」をもとに、無償労働の時給を決めるための2通りの方法についてご紹介します。

1つ目は、家計が無償労働を行うことによる逸失利益(市場に労働を提供することを見合わせたことによって失う賃金)で評価する方法です。これを「機会費用法」(OC法/Opportunity Cost method)といいます。

2つ目は、家計が行う無償労働を、市場で類似サービスの生産に従事している専門職種の賃金で評価する「代替費用法スペシャリストアプローチ」(RC-S法/Replacement Cost method,Specialist approach)です。

家事をしたことで出る「損失」とは?

「機会費用法」による無償労働の賃金率(時間当たり賃金評価)は、すべての年代で女性よりも男性のほうが高いことがわかります。女性の賃金率は1,000~1,600円前後ですが、男性の賃金率は1,500円を超えている年代が多く、働き盛りの40歳代・50歳代では2,000円以上になっています

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の産業計、男女別・年齢階層別の一人当たり時間給(月間所定内給与額÷月間所定内実労働時間)を使用して求めたものです。

「OC法」による賃金率(内閣府の資料をもとに編集部作成)

これは、男性が家事・育児を担当するほうが、より多く家計に損失が発生することを意味します。