リーマン・ショックのような深刻なことにはならないだろう

問題は、中国経済が極めて深刻な打撃を受けた場合です。操業できない企業が次々と倒産し、貸出が回収できない銀行が次々と倒産し、といった場合ですね。その場合でも、リーマン・ショックのようなことにはならないと思います。

リーマン・ショックの時は、米ドルの調達が難しくなって世界中の取引に影響が出ましたが、中国の人民元は世界中で使われているわけではないので、仮に人民元の調達が難しくなっても、影響は中国国内にとどまるでしょう。

そもそも少子高齢化によって日本経済は、従来に比べて景気の変動が小さくなっている、という認識も重要です。高齢者の所得と消費は安定しているので、消費者に占める高齢者の比率が高まると、消費の変動が小さくなるのです。

少子高齢化が労働力不足をもたらし、失業者がすぐに次の仕事をみつけやすくなっているので、「失業者が所得がないので消費を減らす」ということが起きにくいこともあります。詳しくは拙稿『日本の景気があまり変動しない時代がやって来る』をご参照ください。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義