5. 使い道の確認を早く済ませるには?本人確認書類と、金額と支払先が分かる書類をそろえる
窓口での確認を短く済ませたいなら、聞かれそうなことを先にそろえておくのが近道です。
まず持っていきたいのは、運転免許証やマイナンバーカードなど、氏名・住居・生年月日が分かる本人確認書類です。通帳、キャッシュカード、届出印も忘れずに用意しておくと、口座の本人であることをすぐ示せます。
使い道の説明には、請求書や見積書、契約書のように、金額と支払先が分かる書類があると話が早く進みます。口頭で説明するよりも、紙があるほうが窓口の人も確認しやすいはずです。また、まとまった現金は店舗にその場の用意がないこともあるため、行く前に支店へ電話で問い合わせておくと安心です。
支払先が決まっているなら、現金で引き出さずに振込にする手もあります。現金を持ち歩かずに済みますし、相手の口座も記録に残ります。家族が付き添えるときは、一緒に窓口へ行ってもらうのもよいでしょう。
気をつけたいのは、電話やメールで「現金を用意して」「銀行には別の理由を言って」と言われたときです。この場合は、使い道を説明する前に、いったん手続きを止めてください。警察庁も、電話でお金の話が出たらいったん電話を切り、家族などに相談するよう呼びかけています。
6. 【検証】試算から見えること:法律の確認と詐欺の声かけは、別々のしくみで重なっている
令和7年の特殊詐欺における65歳以上の被害(件数比・被害額比)4/4
出所:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」をもとにLIMO編集部作成
ここまでの条文と統計から、窓口で使い道を聞かれる理由は2つに分けられます。1つは、200万円を超える現金の受け払いに法律でかかる取引時確認です。もう1つは、金額の基準とは別に、警察の要請で行われている詐欺を防ぐための声かけです。
法律の確認は、すでに確認を済ませた人なら、通帳などで本人と確かめる形で済むことがあります。それでも窓口で丁寧に聞かれるのは、声かけのほうが「その引き出しに犯人が関わっていないか」を見ているからだと考えられます。
統計を見ると、声かけが向いているのは年齢というより手口のようです。65歳以上の被害は、件数で51.3%、被害額で59.2%を占めていました。被害額の割合のほうが高いのは、高齢者の被害は1件あたりの額が大きい傾向にあることを示しています。
預金やキャッシュカードを直接狙う手口では、被害者の約99%が65歳以上でした。窓口で現金を引き出す場面は、こうした手口の入り口になりやすいといえます。
一方で、特殊詐欺全体では20代・30代の被害も増えています。窓口での確認は、年齢だけで線を引くものではありません。まとまった現金が動く場面ではだれにでも起こりうることとして受け止めておけば、聞かれたときの戸惑いも小さくなるでしょう。
※65歳以上の被害額の割合が件数の割合より高い点は、警察庁の公表値(件数比51.3%、被害額比59.2%)を比べたものです。
7. まとめ
銀行で預金を引き出すときに使い道を聞かれるのは、200万円を超える現金の受け払いにかかる法律の取引時確認と、特殊詐欺を防ぐための声かけが重なっているためです。預金やキャッシュカードを狙う手口では、被害者のほぼすべてが65歳以上でした。
本人確認書類と使い道が分かる書類をそろえておけば、確認は短く済みます。電話で現金の用意を求められたなど、不安なことがあるときは、警察相談専用電話「#9110」で相談できます。
※本記事の数字は、警察庁の公表値と法令にもとづいて整理したものです。確認の方法や必要な書類は金融機関によって異なる場合があるため、利用する金融機関でご確認ください。