銀行の窓口でまとまった額の預金を引き出そうとして、使い道を聞かれたことはありませんか?

200万円を超える現金の引き出しには法律で決まった確認があり、そこに高齢者が多く被害に遭う特殊詐欺を防ぐための声かけが重なっています。

ここでは、犯罪収益移転防止法の条文と警察庁の特殊詐欺の統計をもとに、窓口で使い道を聞かれる理由を「法律の確認」と「詐欺を防ぐための声かけ」の2つに分けて整理します。

あわせて、65歳以上の人の被害が手口ごとにどれくらいを占めるかを比較し、確認を早く済ませるための準備もまとめます。

※200万円の基準は、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令第7条によるものです。高齢者の割合は、警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」の65歳以上の割合(法人被害を除く)をもとにしています。

1. 200万円を超える現金の引き出しで使い道を聞かれるのはなぜ?法律の「取引時確認」の対象で、200万円ちょうどは含まれない

取引時確認の対象となる現金取引の基準と確認事項1/4

取引時確認の対象となる現金取引の基準と確認事項

出所:e-Gov法令検索「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令」第7条をもとにLIMO編集部作成

e-Gov法令検索「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令」第7条によると、金融機関が「取引時確認」をする取引には、現金の受け払いをする取引のうち、金額が200万円を超えるものが含まれます。全国銀行協会も、200万円を超える現金の受け払いを伴う取引を、確認が必要な取引として案内しています。200万円ちょうどなら対象にはなりません。

現金で振り込む場合は、10万円を超えると対象です。また、1回の金額を小さくするために引き出しを分けたことが一見して明らかなときは、まとめて1回の取引とみなされます(施行令第7条第3項)。

確認する事項は、犯罪収益移転防止法の第4条で決まっています。個人の場合は次の3つです。

  • 【本人特定事項】氏名・住居・生年月日
  • 【取引を行う目的】
  • 【職業】

窓口で使い道を聞かれるのは、このうち「取引を行う目的」の確認にあたります。全国銀行協会によると、目的と職業は窓口などで確認するとされています。また、同法第5条では、顧客が確認に応じるまでの間、金融機関は取引を拒むことができると定められています。