4. 合算で見落としやすい3つの注意点
年間上限額を超えているように見えても、合算の対象外となることがあります。注意点は次の3つです。
4.1 1.合算は「同じ医療保険の加入者」ごとに行われる
協会けんぽの案内では、合算の対象は、世帯内の同一の医療保険の加入者とされています。そのため、共働きの夫婦が別々の健康保険に加入している場合や、健康保険の被保険者が後期高齢者医療制度の親と同居している場合は、住所が同じでも合算の対象にならないことがあります。家族の加入先が分かれているときは、加入先の保険者に確認してください。
4.2 2.片方の自己負担が0円だと支給されない。超過額が500円以下も対象外
協会けんぽの案内では、医療と介護のどちらか一方の自己負担額が0円の場合は、支給の対象外です。また、上限額を超えた額が501円以上の場合に限って支給されます。
70歳未満の医療分は、医療機関別・医科歯科別・入院通院別に2万1000円以上のものだけが合算の対象で、入院時の食費や差額ベッド代は含まれません。親の入院が長引いた年でも、食費や差額ベッド代の負担は、合算の計算の対象外です。
4.3 3.年度の途中で保険が変わると、前の保険者の証明書が必要になることがある
東京都港区の国民健康保険の案内(2026年5月25日更新)によると、基準日の7月31日に港区の国民健康保険に加入していることが条件とされています。対象期間中に港区の国民健康保険へ加入した場合は、前の医療保険者と介護保険者が発行した「自己負担額証明書」が必要です。
転居や就職、退職、75歳の到達などで加入する医療保険が変わった年は、基準日の保険者だけでなく、前の保険者の分も必要になる場合があります。必要な書類は、加入先の保険者に確認してください。
5. 申請書はいつ届く?申請の期限は?
2025年8月1日から2026年7月31日の1年間の分は、基準日が2026年7月31日です。港区の国民健康保険の案内では、申請書は基準日の翌年3月頃に郵送されるとされており、この例では2027年3月頃になります。支給までの目安は、大田区の案内(2026年3月9日更新)で申請の受け付けから3〜5か月程度です。
申請には2年の時効があります。厚生労働省の通知「国民健康保険における高額介護合算療養費の支給等の事務の取扱いについて」(2009年4月3日、保国発第0403002号)には、起算日は基準日(基準日とみなされる日を含む)の翌日、期間は国民健康保険法第110条第1項により2年とされています。この国保の例では、2026年7月31日が基準日の分は2026年8月1日が起算日となり、申請書が届く2027年3月頃には約7か月が過ぎています。
一方、大田区の後期高齢者医療の案内には「申請書が届いてから2年」とあり、加入する制度や案内によって、起算の説明は異なる可能性があります。申請書が届いたら早めに申請し、期限に不安がある場合は、加入先の医療保険者に確認してください。
高額療養費は、令和8年8月から月ごとの上限額が見直され、年間上限が新設されました。大田区の案内(令和8年8月以降の自己負担限度額、2026年7月31日更新)には、合算療養費の年間上限額が本記事の表と同じ額で掲載されています。令和9年8月には高額療養費の所得区分の細分化が予定されていますが、合算療養費の年間上限に及ぶかは確認できていません。最新の取り扱いは、加入先の医療保険者にご確認ください。
6. まとめにかえて|8月1日の区切りで、医療と介護の自己負担をそろえておく
親の入院と介護が重なった年は、月ごとの高額療養費や高額介護サービス費に加えて、1年分を合算した上限額も確認しておくと役立ちます。年間上限額は、70歳以上の一般で56万円、70歳未満では34万円から212万円までと所得区分で異なります。申請先は7月31日時点で加入している医療保険者で、申請書が届いたら早めに手続きを進めておくと安心です。
制度の取り扱いや金額は、改正によって変わることがあります。申請前に、加入先の医療保険者と市区町村の介護保険担当窓口で、最新の内容をご確認ください。
参考資料
- 厚生労働省「介護保険事業状況報告(暫定)(令和8年7月分)」(2026年10月9日掲載)
- 協会けんぽ「高額介護合算」(更新日の記載なし)
- 厚生労働省「高額介護合算療養費及び高額医療合算介護(介護予防)サービス費の支給決定手続に係る情報連携の本格運用の開始に当たっての事務の取扱いについて」(2019年1月25日)
- 厚生労働省「国民健康保険における高額介護合算療養費の支給等の事務の取扱いについて」(2009年4月3日 保国発第0403002号)
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年7月31日更新)
- 東京都保健医療局「高額介護合算療養費」
- 港区「高額介護合算療養費(国民健康保険)」
- 大田区「高額介護合算療養費(後期高齢者医療)」
- 大田区「高額療養費(後期高齢者医療)」