3. ロードサイド型からの脱却なるか? 次の成長への打ち手

すでに全国で1,100店舗以上を展開している業務スーパー。さらなる成長のために何が必要なのでしょうか。泉田氏が鍵として挙げるのは、出店余地と業態です。

業務スーパーは、郊外の幹線道路沿い(ロードサイド)に広い面積の店舗を構える店が多いと泉田氏は話します。この業態でどこまで出店余地があるのかが、まず1つの鍵になるという見方です。

「あの業態であとどれだけ出店余地があるのかっていうのが、まず1つ鍵になってくる」

年間の出店が40店舗前後で推移している現状は、物件を結構血眼になって探しているからではないかと泉田氏は見ています。そこで泉田氏が着目するのが、郊外のロードサイドから、消費者が多い都心部へどう入っていくかという点です。

ヒントとして泉田氏が挙げるのが、小型スーパーの「まいばすけっと」です。泉田氏は日経の記事で、店舗当たりの日販(1日あたりの売上)がコンビニを抜いてきたというニュースを見て、「そうだろう」と思ったと話します。

泉田氏は、業務スーパーが持つ「安さ」という強みを都心部に持ち込むことができれば、大きな変化を生み出せると見ています。

「この業務スーパーのモデルで都心に入るようなモデルが作れるんだと、結構インパクトあるかなと思うんだけど」

他社の動きも出ています。トライアルホールディングスは小型店「TRIAL GO」を展開しています。また、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、スーパーマーケットのOlympicを完全子会社化し、「ロビン・フッド」という食品強化型の新業態を広げていく計画を公表しています。

一方で、聞き手のウリちゃんは、業務スーパーの冷凍食品などは業務用で量が多く、そのままのサイズではコンビニのような店舗での展開は難しそうだと指摘します。泉田氏は、コストコの品ぞろえがそのまま都心にできるとは思わないが、一部の目玉商材だけでも置いてくれたらよいのではと話します。消費者が多いエリアで勝ち残るには、業態でエッジを立てることが消費者の支持を受けやすい、というのが泉田氏の見方です。

4. まとめ:事業構造の変化がもたらすもの

ウリちゃんは、大量で安いものを販売する業務スーパーは、インフレが続くなら追い風になりそうな要素があると見ています。これに対し泉田氏は、大量だという点は強みになりうるものの、使い方しだいだと慎重です。

また、企業の安定した業績と、株式市場からの評価は必ずしも一致しません。店舗を決まった数だけ出店し、既存店が想定通りに売上を立てるだけでは、投資家はその先の成長を予想できてしまいます。サプライズがなければ、業績はすでに株価に織り込まれてしまうというのが、泉田氏の見立てです。

泉田氏は、リアルの店舗を決まった数だけ出すやり方では株価の変化は出にくく、新しい事業を足し合わせることが必要だという見方を示します。

「リアルの店舗を出店して既存店がどうだの、出店数どうだのってやってると、すぐ株式市場に織り込まれちゃうんで、それができないような新しい事業を足し合わせることで、株価の変化というのはつけることができるんです」

今後の神戸物産を見るうえでは、ロードサイド型の店舗展開に加えて、都心型の新業態など新しい事業をどう組み込めるかが注目点になりうると考えられます。

一方で注意すべき点もあります。今回の説明は9か月累計の数字が中心で、直近の期間だけの動きや、物価・人件費といった費用面の影響には触れていません。泉田氏は、米の価格が下がっていることについても言及しており、商品ごとの動きが全体の売上にどう響くかは、引き続き確認する必要があります。

本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資は自己責任でご判断ください。

参考資料

  • 株式会社神戸物産「2026年10月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年9月11日)
  • 株式会社神戸物産「2026年10月期 第3四半期決算説明会資料」(2026年9月11日)
  • 株式会社神戸物産「2026年10月期 7月度 個別業績のお知らせ」(2026年8月19日)
  • 株式会社トライアルホールディングス「2026年6月期 決算説明資料」(2026年8月13日)
  • 株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス「2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月18日)
  • YouTubeチャンネル「イズミダイズム」

各資料の入手先: 株式会社神戸物産 IRライブラリ

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