5. 【FPの視点】医療費が多い年は「戻るお金」を両方確かめる

医療費の負担が重くなった年は、医療保険と税金の両方で負担を軽くできる可能性があります。家計の目線で確かめておきたい点を整理します。

5.1 高額療養費の申請と医療費控除の申告は、別々の手続き

高額療養費は加入している健康保険に申請し、医療費控除は確定申告で税務署に申告します。どちらか一方だけで済むわけではありません。高額療養費で払い戻しを受けたうえで、残った自己負担額をもとに医療費控除を計算する、という順番で考えると整理しやすくなります。

5.2 保険適用外の費用は、領収書を保存しておく

先発医薬品の「特別の料金」のように、保険適用外の費用はマイナポータルの医療費通知情報に含まれないものがあります。通院の交通費なども、記録を残しておかないと集計から漏れがちです。

医療費の領収書や通院の記録は、ひとつの箱やファイルにまとめて保管しておくと、確定申告のときに慌てずに済みます。

5.3 見直し後の限度額は、加入している健康保険で確認する

今回紹介した金額は協会けんぽのものです。健康保険組合によっては、独自の付加給付で自己負担がさらに抑えられる場合もあります。自分の自己負担限度額や手続きは、加入している健康保険の案内で確かめておきましょう。

6. まとめにかえて

高額療養費は2026年8月から見直され、協会けんぽの70歳未満・標準報酬月額28万〜50万円の人の自己負担限度額は「8万5800円+1%」になりました。総医療費100万円の月なら、自己負担は5510円増える計算です。一方で、1年間の負担に上限を設ける年間上限が新設され、多数回該当の金額は据え置かれました。

高額療養費で払い戻されたお金は、医療費控除の計算で支払った医療費から差し引きます。医療費控除の対象になるかどうかは、治療に直接必要な費用かどうかが目安で、目的や条件によって判断が分かれるものもあります。

医療費が多かった年は、高額療養費と医療費控除の両方を確かめてみてください。具体的な扱いに迷ったときは、加入している健康保険や税務署に相談すると安心です。

参考資料

村岸 理美