高額療養費制度は、マイナ保険証の導入によって使いやすくなりました。以前のように認定証を事前に申請しなくても、窓口の支払いが上限額までに抑えられます。
本記事では、この制度とマイナ保険証の関係を確認したうえで、それでも手続きが必要な3つの例外と、令和8年8月から設けられた年間上限を整理します。
1. 高額療養費制度とマイナ保険証の基本
高額療養費制度は、ひと月の医療費が一定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。マイナ保険証があれば、限度額適用認定証の事前申請が原則不要になります。
1.1 令和3年10月以降の運用
マイナ保険証を医療機関の窓口で提示すると、オンライン資格確認システムを通じて自己負担限度額の情報が医療機関へ自動的に共有されます。認定証を事前に申請して提示する必要がなくなり、窓口での支払いも自己負担限度額までに抑えられます。
従来のように「認定証がないと限度額を超えた分をいったん立て替える」という状況は、マイナ保険証があれば原則として発生しません。
1.2 従来の限度額適用認定証との違い
以前は、医療費が高額になる見込みの方が加入医療保険(協会けんぽ・組合健保・国民健康保険・後期高齢者医療など)に申請し、認定証を発行してもらう必要がありました。
マイナ保険証の導入後は、この事前申請が省略されます。なお、紙の健康保険証は令和6年12月2日で新規発行が終了しており、代わりに交付される資格確認書に自己負担限度額の区分が記載されていれば、認定証と同じように窓口で自動的に適用されます。
2. それでも手続きが必要な3つの例外
マイナ保険証があれば、限度額適用認定証を事前に申請する必要はなくなりました。
住民税非課税世帯の方の入院時の食事代も、マイナ保険証を提示して限度額情報の提供に同意していれば、原則として認定証なしで減額されます。ただし、次の3つのケースでは、申請が必要になったり、窓口でいったん支払ったりする場面が生じます。
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出所:全国健康保険協会「限度額適用認定証」、厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」などをもとにLIMO編集部作成
2.1 オンライン資格確認に未対応の医療機関
医療機関側にオンライン資格確認システムが導入されていない場合は、マイナ保険証を持っていても認定証の提示が必要です。訪問診療の一部や小規模な診療所では、まだ未対応のケースが残っています。
2.2 90日を超える長期入院の追加減額
住民税非課税世帯の方で、申請月以前の12カ月に90日を超える入院がある場合は、食事代の標準負担額がさらに下がります。この追加の減額を受けるには、入院日数を証明する書類を添えて加入医療保険に申請する必要があります。
2.3 国民健康保険料の滞納がある場合
滞納があると認定証が交付されないことがあります。この場合は窓口でいったん支払い、後から高額療養費の支給申請をする流れになります。心当たりがあるときは、受診前に市区町村の窓口で相談しておくと安心です。
3. 令和8年8月からの年間上限
令和8年8月から、高額療養費制度に年単位の上限額が新たに設けられました。医療費が長期化する方にとっては、負担軽減の効果があります。
3.1 所得区分ごとの年間上限
住民税非課税に該当する区分では29万円または18万円、70歳未満の上位区分では最大168万円です。ここでいう年間は8月から翌年7月までを指し、上限を超えた分は加入医療保険に申請することで還付されます。
3.2 申請と還付の流れ
年間上限に該当する場合、加入医療保険から申請書が送付される、または本人が申請することで還付が受けられます。自動的に還付されるわけではありませんので、医療費が長期化している方は加入医療保険の案内を確認しておいてください。
