5. 【FPの視点】昇進で年収が上がったときに、家計で見ておきたいこと

昇進して年収が上がるのはうれしいことですが、額面の増え方と、手元に残るお金の増え方は同じではありません。家計の目線で押さえておきたい点を整理します。

5.1 年収が上がるほど、税の負担割合も上がる

所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる仕組みです。民間給与実態統計調査でも、年間給与800万円超の人が所得税の71.4%を負担していました。

昇進で額面が100万円増えても、税金や社会保険料が差し引かれるため、手取りは同じ幅では増えません。昇給後の家計は、額面ではなく手取りの増え方で考えることが大切です。

5.2 増えた分は、先に取り分けておく

年収が上がると、つい住まいや車、保険などの固定費も上げてしまいがちです。固定費は一度上げると下げにくく、収入が増えたのに貯蓄が増えない原因になります。

昇給分や増えた賞与の一定割合を、給与の振込口座とは別の口座に自動で積み立てるなど、使う前に取り分ける仕組みをつくっておくと、増えた収入を将来に回しやすくなります。

5.3 役職手当や賞与は、ずっと続くとは限らない

役職に就いて増えた収入の一部は、役職手当や業績に連動する賞与です。異動や役職定年、業績の変化によって減ることもあります。

家計の基本は、役職手当や賞与がない場合でも回る水準で組み立て、上乗せ分は貯蓄や教育費、老後資金に回すと安心です。

6. まとめにかえて

令和7年賃金構造基本統計調査によると、部長級の賃金は月63万5800円で、賞与を年4か月分と仮定した年収の目安は約1017万円でした。課長級は約847万円、係長級は約639万円です。

国税庁の民間給与実態統計調査と照らし合わせると、部長級の年収の目安は年間給与1000万円超の上位6.6%の層に入ります。この層は、所得税の約6割を負担しています。

前年からの伸びは課長級と係長級の3.4%が最も大きく、部長級と非役職者の格差はやや縮まりました。自分の年収や役職と照らし合わせながら、昇進後の家計の組み立て方も考えてみてください。

参考資料

村岸 理美