5. 働く人の約77%が節税・資産形成制度を「活用していない」?民間調査から

制度を知らないまま機会を逃していないかも、確認しておきたい点です。

株式会社NEXER Groupが2026年10月1日に公表した「社会保険料・税金への意識と軽減策の認知に関するアンケート」によると、全国の働く男女300人を対象に2026年8月1日から6日にインターネットで実施した調査で、節税・資産形成制度を「活用していない」と答えた人は77.3%にのぼりました。

毎月の社会保険料や税金の額を「ほとんど把握していない」人は33.3%で、社会保険料の決まり方を正しく理解していた人は59.3%でした。

5.1 社会保険料や税金が軽減される「選択制DC」は知られている?

同調査では、社会保険料と税金が軽減される制度として「選択制DC」を取り上げています。「選択制DC」を「知らない」人は81.7%、認知率は18.3%にとどまりました。一方で、「利用したい」と答えた人は36.4%、「具体的な節税額シミュレーション」があると安心できると答えた人は48.7%でした。

こうした制度は勤め先の導入状況によって使えるかどうかが変わるため、まずはご自身の勤め先に制度があるかを確認する必要があります。

6. まとめにかえて|平均給与の「次」は、手取りの使い道を確かめることから

国税庁の調査では、令和7年分の平均給与は487万円で、前年から1.9%増え、5年連続の増加で過去最高となりました。

一方で、ソニー銀行の調査では賃上げを「実感していない」人が69.5%にのぼり、NEXER Groupの調査では節税・資産形成制度を「活用していない」人が77.3%でした。

毎月の積立は、少額でも長く続ければ差が出る可能性があります。毎月3万円を年3%で15年積み立てた試算では、元本540万円に対して680万9000円でした。

ただし、想定利回りは仮定であり、新NISAの投資上限や老後の家計収支も合わせて見ておく必要があります。まずは、毎月の社会保険料や税金、勤め先の制度を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

7. 【筆者コメント】

熊谷 良子

ここまで、国税庁の最新データや民間の調査、積立の試算を見てきました。数字の見方は人によって違いますが、知らないままにしておくと選択肢が見えにくくなる、という点は共通しているように思います。試算や統計は、判断の材料にはなっても、答えそのものではありません。ご自身の家計に引き寄せて読み替えることで、はじめて役に立つ情報になります。

社会保険料や税金の額、勤め先にある制度、新NISAの枠。どれも一度調べてしまえば、必要なときに見返せる情報です。難しく考えず、まずは給与明細を手元に置いて、引かれている項目を一つずつ眺めるところから始めてみてください。疑問に思った点は、勤め先の担当部署や公的機関の窓口で確認しておくと安心です。

老後の家計は、収入と支出の両面から考えると全体像がつかみやすくなります。ご自身のペースで、少しずつ準備を進めていきましょう。

参考資料