4. 60歳代・70歳代の金融資産はいくら?「平均」と「中央値」でみる貯蓄事情
介護サービスを利用すると、介護保険の自己負担分に加えて、住まいの改修費や介護用品の購入費など、さまざまな費用がかかる場合があります。では、実際に介護が身近になってくる60歳代・70歳代は、どのくらいの金融資産を持っているのでしょうか。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」から、金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)をみていきます。
二人以上世帯
- 60歳代:平均値2683万円、中央値1400万円
- 70歳代:平均値2416万円、中央値1178万円
単身世帯
- 60歳代:平均値1364万円、中央値300万円
- 70歳代:平均値1489万円、中央値500万円
二人以上世帯の平均値は60歳代で2683万円、70歳代で2416万円でした。ただし、平均値は一部の資産の多い世帯に引き上げられやすいという特徴があります。より実態に近いとされる中央値(データを小さい順に並べたときに真ん中にくる値)をみると、60歳代は1400万円、70歳代は1178万円です。
単身世帯では、平均値が60歳代1364万円、70歳代1489万円であるのに対し、中央値は60歳代300万円、70歳代500万円にとどまります。平均値と中央値に大きな差があることから、同じ年代の中でも資産状況には大きな幅があるといえるでしょう。
実際に、金融資産を保有していない世帯の割合は、二人以上世帯の60歳代で12.8%、70歳代で10.9%です。単身世帯では60歳代で30.4%、70歳代で20.4%となっています。
5. まとめにかえて
今回は、65歳以上人口の推移と介護の現状、そして60歳代・70歳代の貯蓄事情について解説しました。
65歳以上人口の割合は29.6%と過去最高となり、今後も上昇が続く見込みです。介護の現場では、高齢の配偶者が介護を担う「老老介護」が6割を超え、介護する側の負担も大きくなっています。
介護がいつ、どのような形で必要になるかは、誰にも予測できません。ご自身やご家族の健康状態、住まい、利用できる介護サービスなどを確認しながら、無理のない範囲で資金面の準備を進めておくと安心です。
これまで数多くの家計相談に携わってきましたが、介護の備えは「元気なうちに家族で話し合っておくこと」が何よりの第一歩だと感じています。お住まいの地域包括支援センターの場所を調べておくだけでも、いざというときの心強い支えになるでしょう。
参考資料
- 総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
- 厚生労働省「2025(令和7)年国民生活基礎調査の概況」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
村岸 理美